「草茂み ベースボールの 道白し」―。かつて子規が詠んだ句は〝村神様〟の手で再現された。ヤクルト・村上宗隆内野手(23)が1回2死三塁で先制二塁打を左翼フェンスにぶち当てた。

「とにかく先制点を取りたかったので初回に先制できて良かったです」。カウント1―2から中日先発・涌井の外角直球を振り抜き、先制打。年に一度の愛媛・松山市、坊っちゃんスタジアムでの特別な一戦で、初回から沸かせた。

今季は試合前時点で打率・188、2本塁打、8打点と苦しむが、好相性の地から上昇気流に乗っていけそうだ。球団の秋季キャンプ地でもある同球場では、打率・412(17打数7安打)、3本塁打、7打点。昨年の球宴では日本球界を代表する佐々木朗(ロッテ)と山本(オリックス)から安打も。なじみ深い球場でこの日も値千金の一打を放った。

俳人・正岡子規の故郷として知られる愛媛・松山市。子規は米国から伝わった「ショートストップ」を「遊撃手」と訳したことから日本野球の祖とされている。自身も捕手としてプレーに没頭した野球好きであり、日本に野球を普及させた功績を認められて平成14年には野球殿堂入りも果たした。

球場のすぐそばには、そんな正岡子規が詠んだ句「草茂み ベースボールの 道白し」が刻まれた碑がある。白球に見立てた丸い石がきれいな弧を描き、石碑を突き抜けていくようなデザインが施されている。汗ばむ陽気に葉桜が揺れる松山で、4連敗中のチームに勢いをつけた鋭い弾道―。

四回には内野ゴロの間に1点を追加。打線は4安打と相変わらず湿ったままだが、投手陣が踏ん張った。サイスニードから石山、清水、田口と完封リレー。サイスニードが6回無失点で3勝目。数少ないチャンスを生かしたヤクルトが何とか連敗を止めた。

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