高さ約450メートルの東京スカイツリーの展望台では、
地上よりも1日当たり10億分の4秒、
時間が速く進む―。
アインシュタインの一般相対性理論に基づく現象を
東京大と理化学研究所などの研究チームが、
160億年に1秒しかずれない超高精度の
「光格子時計」を使った観測で確かめた。
論文は20日までに、
英科学誌ネイチャー・フォトニクスに掲載された。

一般相対性理論では、
時間は重力が大きいほど遅く進む。
スカイツリーの展望台は地上階よりも
450メートル高い分、重力が弱く、
ごくわずかに時間が速く進むはずだ。

東京大の香取秀俊教授らは、
実験室サイズだった光格子時計の小型化に成功。
スカイツリーの展望台と地上階に
1台ずつ設置して時間を測定した。
その結果、1日当たり4ナノ(ナノは10億分の1)秒、
展望台の時計の方が速く進んでいた。
同一の場所での測定ではほとんどずれはなく、
展望台の時間が速く進んでいることが分かった。

小型の光格子時計を使えば
重力のごくわずかな違いが分かり、
数センチレベルの地殻変動の検出も可能になる。
香取教授は
「ゆくゆくは火山活動などの兆候も見られるかもしれない」
と話した。

光速の99.5%の速さの宇宙船に乗って出発し、
宇宙旅行から帰ってくると
地球上では約10倍の時間が経過している。
これを浦島太郎の昔話になぞらえて、
「ウラシマ効果」と呼ぶ。