矢野のインタビュー読んだ?
https://goetheweb.jp/person/article/20230422-y-6?heading=3

矢野はキレた。濡れ衣を着せてきたヤクルト・ベンチに向かって激しい口調でやり返した。それだけで事が終わっていれば、よくある「ちょっとした小競り合い」で片づいていたかもしれない。騒動が複雑化し、かつ大きくなったのは、そこに第三の男が加わってきたからだった。
村上宗隆である。
彼のポジションはサードだった。阪神側が陣取る3塁側ベンチに一番近いところにいた選手でもある村上は、自軍のコーチを罵倒する声を飛ばす阪神ベンチににじり寄った。
YouTubeの映像には、1塁側のベンチに向かって怒りの言葉を投げつけていた矢野が、視界の左側から近づいてくる村上に気づき、一瞥をくれた場面が残されている。村上にとって怒りの対象は阪神ベンチだったが、矢野にとっての対象は1塁側のベンチだった。 
だが、メディアやファンのとらえ方は違った。
53歳の指揮官が、21歳の選手を恫喝した──。
矢野には、村上を恫喝したつもりはないし、そのことは、YouTubeを見てもわかる。そもそも、彼が激昂したのは、自らがもっとも忌み嫌っていた行為を、敵ベンチからあたかもやっているかのように揶揄されたからだった。矢野からすれば、濡れ衣から始まったトラブルだったが、世間からはまずサイン盗みの疑念をかけられ、かつ、村上を恫喝したことがまるで事実であるがごとく扱われた。
激しい怒りが去った穴に入り込んだのは、徒労感だった。