ASDの人は、私たちが普通に使っている言い回しに戸惑っている場合があります。

 たとえば、会社に掛かってきた電話をとったとき、先方から「○○さんいらっしゃいますか?」と聞かれることがあります。
通常の応対は、「はい、少しお待ちください」と言って、○○さんに電話を替わるというものですが、ASDの人の場合、それがうまくできません。

 多くのASDの人なら、「○○さんいらっしゃいますか?」と尋ねられたら、即座に「はい、いらっしゃいます」と答えるのではないでしょうか。
ASDの人の特徴のひとつに、相手が言った言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」があります。

 そして、オウム返しをしたあとに、黙り込んでしまうに違いありません。少なくとも、○○さんに電話を替わるという行動はとりません。
電話を掛けてきた相手の意図が、○○さんが“いる”か“いない”かを知りたいということではなく、○○さんと電話で話したいということなのだと、理解することができないからです。

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