もっか最下位と悪戦苦闘中の新庄日本ハム。チーム防御率もリーグワーストの3.62だが、来季はさらに投手陣が弱体化しかねない。加藤貴之(30)と上沢直之(29)の左右エースが、それぞれ野球人生の岐路に差し掛かっているからだ。

加藤は去る4日に国内FA権を取得。2ケタ勝利を挙げたことこそないものの、制球力に優れており、他球団からも高い評価を受けている。四球数が極端に少なく、昨季は147回2/3で、たったの11四球。1950年以来、72年ぶりにNPBのシーズン与四球記録を塗り替えた。

 しかも、オフの契約更改では球団の提示した複数年契約を固辞。年俸も1億3500万円とそれなりに“手頃”だ。複数球団が水面下で調査を進めており、争奪戦に発展しそうな気配だ。

 上沢も昨オフの契約更改で「来季、メジャーで挑戦したいという主旨は(球団に)伝えた。米国で野球がしたい」と、明かした。順調なら海外FA権を取得するのは2年後の2025年。今オフの移籍なら球団の許可を得てのポスティングとなるが、来季、国内FA権を取得見込みとあれば、押し切れると判断したのだろう。

日ハムOBが言う。

「特に上沢の流出阻止は厳しいそうです。昨季序盤、日刊ゲンダイに『新庄監督の采配に不満があるのではないか』と報じられた際は、自身のツイッターで『僕は何も不満はない』と否定しましたが、オフに出演した地元テレビ番組で『一軍レベルに達してない選手が多い。そういう選手はチームの成績より自分のことで精一杯になる』と、苦言を呈していた。15日の西武戦は、6回途中9失点でKO。ある評論家から『明らかにやる気がない投球で、チームの士気を下げる』と酷評されたものの、あるいはすでに気持ちが切れているのかもしれません」

 ただでさえ、今季オープンしたエスコンフィールドは、「投手王国」だった以前の札幌ドームに比べて狭い上に外野フェンスが低く、本塁打が出やすくなった。日ハムの投手陣もアタマを痛めているのが実状だ。

 オフにソフトバンクにFA移籍した近藤健介に続いて、左右エースの流出も時間の問題かもしれない。