「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」

 2016年1月12日、午後2時16分。日本ハムの指揮官として5年目を迎えていた栗山監督に、至極の瞬間が訪れた。種牡馬となっていた伝説の名馬・ディープインパクトが目の前にやってきたのだ。居ても立ってもいられない。一番聞きたかったことをシンプルな言葉で投げかけたのが、後の世界一監督と世界的名馬のファーストコンタクトだ。日中も氷点下だった真冬日に熱気を帯びたピュアな魂の叫びが、北海道安平町にある社台スタリオンステーションに響いた。

 目をキラキラと輝かせて、栗山監督がディープの顔を見上げる。そして、牧場関係者に尋ねた。

「触っていいですか?」

 許可を得て、恐る恐るディープの左肩付近へ右手を伸ばした。馬体に触れると優しい手つきでなでた。ディープも左横に振り向いて栗山監督の目を見つめた。

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