年金改悪で狙い撃ちされる専業主婦 「第3号」廃止で“保険料二重取り”の思惑

《国民年金、納付45年へ延長検討》。10月15日、共同通信がそう報じた。国民年金は、
20才から59才までの40年間が「納付期間」と定められている。政府は、その期間を5年延長することを目論んでいるという。
これは強制加入なので誰しもが年間約20万円、5年間でざっと100万円の負担増を強いられることになる。つまり実質的な「大増税」である。
さらに「専業主婦」から、お金を吸い上げようとする動きもあるという。
改めて説明すると、会社員の妻で、パートなどの収入が少ない主婦は、国民年金の保険料を支払っていない。
「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても加入期間にカウントされ、仮に「40年間専業主婦で、1円も保険料を納めなかった」としても、
将来満額の年金を受け取れる。

中略

厚労省が公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度末時点で、
「第3号~」に該当する専業主婦の数は約800万人いる。仮に「第3号~」が廃止され、保険料徴収が始まれば、1人当たり年20万円としても、
約1兆6000億円の財源になる。自転車操業の年金制度の実情を知る岸田首相にとっては、喉から手が出るほど魅力的だろう。
これまで支払っていなかったものを突然支払うことになれば、家計への影響は大きい。だが、そもそも「これまで支払っていない」という前提は疑うべきだ。

「『第3号~』の制度ができた1985年に、会社員の厚生年金保険料率は、10.6%から12.4%へと約2割も引き上げられました。
これは、実質的に専業主婦の保険料と考えて差し支えない。その上、専業主婦が保険料を支払うことになれば、
保険料の“二重取り”が政府主導で行われるということにほかならない」(現役の社会保険労務士)
もしそれが実現するのであれば、とうてい許されざる行為ではないか。

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