〝兄貴分〟と慕う近藤とこの日4度目の対戦は、0-0の七回2死一塁の場面で回ってきた。第1打席は右前打を許したが、第2打席は遊ゴロ、第3打席は二塁へのゴロ(記録は二失)に打ち取っていた。

 2球で追い込み、4球目の144キロ直球でバットに空を切らせると、右腕で豪快にガッツポーズ。「前回もやられていたので気持ちを入れて投げました。まあ、対策とかなかったですね。気持ちで負けてなかったかなと思います」。試合後、球場を出る際には、近藤から「ナイスピー!」と声を掛けられ、笑みがこぼれた。

 勝てなかった時、手を差し伸べてくれていたのが近藤だった。今季初勝利を挙げた2日の西武戦(ベルーナドーム)後、伊藤は一通のメッセージを送った。「石川亮さんからも連絡が来ましたし、近藤さんも気に掛けてくれていたので僕から送りました」。

 昨季まで日本ハムの主力を担った4学年上の先輩とは、プロ1年目に東京五輪で日本代表として一緒にプレーしてから急接近。日頃から野手目線のアドバイスをもらっていた。ソフトバンク移籍後も、良い関係を継続。シーズン開幕後には、「大丈夫か」と状態を心配する長文のメッセージが届いていた。