一方、小林は20年から年俸1億円で4年契約を結ぶ。だが、年々厳しくなるチーム内での立場を見透かされ、他球団とのトレードの噂は絶えなかった。

 複数のNPB関係者によると、実は昨オフ、レギュラー捕手の木下拓哉に続く捕手の補強を狙っていた中日がトレードによる小林獲得を進めていたという。

「同一リーグで、親会社が同じ新聞社の両球団のトレードは異例。巨人側の感触が悪く、結局、中日は加藤(匠馬)を無償トレードで獲ることになったが、
あわよくば出してくれるのではないかと思わせるほど、巨人での小林の立場は微妙。原さんがいる限り、上がり目はないだけに今オフには去就問題が再浮上するとみている」(セ・リーグ球団編成担当)

小林は国内FAに続き、5月10日には海外FAの資格条件まで満たした。今季年俸は巨人ではBランク(4〜10位)とみられ、オフに他球団がFAで獲得した場合は人的補償が発生する。
それでも、捕手は育成に最も時間を要するポジションだけに、複数のNPB球団が動向に注視しているという。

 その候補には、小林の広陵高の後輩・太田光が正捕手として一本立ちするまでのサポート役になり得る楽天、森が抜けた西武、そして小林が高校時代を過ごした広島などが挙げられる。

「原さんが不振で退任することになれば、小林の残留の可能性は出てきそうだが、続投となれば来季も控え捕手の位置づけは変わらない。
捕手は試合に出られなければ実戦勘だけではなく、体力の衰えにも拍車がかかる。レギュラーを目指し、勝負をかけるなら年齢的には最後のチャンス。
DHがあるパ・リーグなら小林の打撃はセほど目立たなくなる。FAすれば、強肩とリードをウリに争奪戦の可能性もある」(同編成担当)

 FA権を行使しなかった場合でも、トレードの火種はくすぶり続ける。昨オフの中日のようにセ球団ではなく、パ球団の打診なら原全権監督の巨人は本格的に検討するだろう。

さらには、今季途中のトレードも否定できない。

「巨人は投手陣の防御率がリーグ最低で、不安が解消されていない。小林なら相応の投手との交換が望める。
山瀬(慎之助)や岸田(行倫)で2番手捕手はまかなえるだけに(パとの対戦がなくなる)交流戦の終わりをメドに、小林のパ球団へのトレード放出を模索するかもしれない」(同前)

 いずれにしても小林の去就は、編成権を持つ原監督の存在がカギを握っていることに変わりはない。