オリックスが早くから1位指名選手を公表するのは珍しい。これについては、「オリックス球団はいろんな形で何かやらかしてくるぞと世間に思わせる一つの材料かと。待つのではなく行動していくというのが私のテーマで、それを球団にも理解してもらって、ああいう形で早く公表した翌日には近畿大学に足を運んで監督さんとお話させてもらいました。僕は縁を大事にしているので」と説明する。

 結局、佐藤は巨人、阪神、ソフトバンクとの競合の末に阪神が交渉権を獲得。次にオリックスが1位指名したのは、福岡大大濠高の大型投手・山下舜平大だった。「即戦力の野手である佐藤君を外した時には、今年は他にそういう野手がいなかったので、大きく方向転換していいんじゃないかと。『山下舜平大をメジャーに行かせるべきじゃないですか? ウチで育てるべきじゃないですか? それぐらいのポテンシャルがあります』と提案したら満場一致でした」

 そして、2位では元謙太(中京高)、3位では甲子園を沸かせた来田涼斗(明石商高)と高校生を2人指名した。これについて牧田編成部副部長は「ウチも(昨年2位指名の)紅林弘太郎が1年目で試合に出てましたけど、近年の高校生は早いんですよ。ポテンシャルの高い高校生を追って、山下、元、来田の3人に行きました。これは嬉しかったですね。将来のレギュラーを獲れました」と会心の指名だったことを強調する。

「2年連続で最下位なんで、『高校生ばかりで大丈夫なの?』と思われるかもしれませんが、中嶋聡監督が『それでもいい』と言ってくれたんでね。高校生でも3年でレギュラー獲れるような素材、1年目、2年目から一軍を経験できるぐらいの選手を確実に指名出来ればと思って、しっかりそれが出来たんでね。そういった意味では将来って言いますけど、2年後が楽しみですね」。近年のオリックスでは、山本由伸が高卒3年目で最優秀防御率のタイトルを獲得。この日の会見でも、選手たちの口から「山本選手」という名前が何度も飛び出していた。