https://news.yahoo.co.jp/articles/af3c43eaf2a5cdf94cf396d82f27f58952976984

山口大大学院医学系研究科の男性教授が2001~22年に共同研究者と連名で執筆した論文6本に、実験結果の画像データを加工したような痕跡が見つかり、
捏造(ねつぞう)や改ざんなどの研究不正の疑いがあることが大学関係者への取材で判明した。山口大は調査会を設置して調べている。

研究不正の疑いがある6本は、欧州分子生物学機構や米国微生物学会などが出版する分子生物学分野の国際学術誌に掲載された。
いずれもこの男性教授が論文の責任著者を務めた。
生物の持つたんぱく質が別のたんぱく質に及ぼす影響を調べ、腫瘍の形成や細胞の増殖メカニズムなどに関する研究成果をまとめている。

 6本の論文で男性教授らは、ヒトのがん細胞やマウスの皮膚細胞などからたんぱく質を抽出する実験をした。
抽出したたんぱく質を「電気泳動」という手法で分析し、特定のたんぱく質が作られているか調べた。

 特定のたんぱく質が存在すれば、撮影した画像から確認できる。
ところが関係者によると、画像データを不自然に切り張りしたり、一部消去したりしたような痕跡が見つかったという。
うち1本では、画像の切り張りなど不正と疑われる行為が最多の33カ所あった。

 画像の操作・改変はデータの捏造や改ざんに該当する場合があり、山口大の調査会が不正と認定すれば、国の研究不正に関するガイドラインで研究費返還などの罰則対象となる。
画像の切り張りは14年に「STAP細胞」論文でも問題となった。

 毎日新聞が入手した内部資料によると、山口大は22年11月、2回の内部告発を受け、同12月に調査会を設置した。
山口大は取材に「現時点で回答は差し控える」と返答した。男性教授にはメールで取材を申し込んだが23年5月22日時点で回答がない。