豪雨に見舞われた宜野座のドーム内で突然、拍手が湧き起こった。西勇の「どうぞ真ん中へ」の呼び込みに、矢野監督が歩を進めた次の瞬間、大きく両手を広げたその体が3度、宙に舞う。より一層の大拍手の中、指揮官の「ありがとう!!」の大声が響き渡った。

 直前には、この日のワンデーキャプテンを務めた糸井、西勇の漫才を思わせる絶妙な掛け合いがあった。

 西勇「僕は予祝を持ってきました。ルーキー、桐敷、意味分かるか?*5」

 桐敷「…」

 糸井「いや、分からんやろ!」(と西にツッコミ)

 西勇「未来の姿を先に喜び、祝ってしまうことで現実を引き寄せることを予祝と言います。みんな予祝で、ただ一つできてないことがある。分かる?テル、馬場」

 佐藤輝、馬場「分からないです」

 西勇「糸井さん、分かりますか?」

 糸井「一つしかないやないか!優勝に向けて練習してるわけでしょ。でもこれは練習してないと思うねん(Tシャツに書かれた『胴上げ』の文字を見せ)今から監督を胴上げしようかなと思います。いいですか?これは予祝です!」

 突然の胴上げを「うれしいサプライズで気持ち良かった。もう感謝しかない」と振り返った矢野監督。表情を引き締めながら「俺がいつも描いているのは優勝、日本一のチャンピオンフラッグを持った選手たちが歩いていく姿を俺が一番後ろで見るというもの。そういうイメージが湧いている」と言い切った。