<犯罪や人種差別といった危険なイメージを払拭、健全かつ気軽なチャットにハマる男たちが増加中。人間関係の質や自尊心を高めるという研究も>

中略

メンバーは家族も同然
グループチャットを日記代わりにすることには確かに一種の浄化作用があり、日記は精神衛生にいいことが分かっている。

私とは別のチャットをやっている35歳のマイケルは、特に男性がグループ形式を心地よく感じる理由はほかにもあるのではと考えている。

「チャットでシェアした内容はほかで話さないという暗黙の了解がある。男性は女性と違って同性の友人と長電話で感情を打ち明ける習慣がない。文章で自分の考えをシェアするほうが心理的距離があり、皮肉にもそのおかげで、男同士が安心して言いたいことを言える」(男性は精神疾患の治療を受けようとする傾向が女性よりはるかに低い)。

この気軽さが、真剣なやりとりの最中に誰かが飛び入りでミームを投稿しても平気な一因かもしれない。

「ソーシャルメディアなどで大量に生成されるばかげたコンテンツのデータストリームと並行するこうした真剣さは、全て現代の男同士の友情の奇妙な表現方法」だと、ジャクソンは言う。

奇妙だが、有効でもある。19年の研究によれば、グループチャットに費やす時間と人間関係の質や自尊心には相関があり、21年の研究では家族のグループチャットが「家族の機能と幸福度の高さに関連している」ことが分かった。

大学時代のルームメイトたちと私は家族ではないが、今はチャットのおかげで家族同然だ。確かに表面的には、私の生活はパンデミック中の孤独な日々とそう変わらない。相変わらずほとんどの時間を自宅で独りで過ごしている。

でも、もう孤独感はない。友人たちがメッセージの届く距離にいて、ミームや狂気や自分たちの精神を分析することに熱中していると分かっていれば、男はそれで十分だ。

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