昨年のサッカー・ワールドカップ(W杯)期間中、選手や監督、関係者らをののしるソーシャルメディアへの投稿が2万件近くあったとする報告書を、 国際サッカー連盟(FIFA)が18日、公表した。

FIFAは昨年、国際プロサッカー選手会(FIFPRO)と協力し、国際大会の期間中に選手、監督、関係者をソーシャルメディアの罵倒から守る取り組みを実施した。
ソーシャルメディア保護サービス(SMPS)と呼ばれるツールを開発し、投稿やコメントにフラグを付けた。

その結果、W杯カタール大会の期間中、1万9636件の投稿がサービスプロバイダーによってののしり、差別、脅迫と分類されたという。

それらは、関係するソーシャルメディアのプラットフォーム側に報告され、多くの場合で削除されたとしている。
罵倒とされたメッセージのうち、性差別が13.47%、同性愛嫌悪が12.16%、人種差別が10.70%を占めていたとされる。

■投稿者300人以上を特定

FIFPROのデイヴィッド・アガンゾ会長は、「報告書の数字や結果に驚きはないが、それでも大いに気がかりだ」と述べた。

「サッカーの全関係者に、強く注意を呼びかけるものだ。この種の攻撃に直面することが増えている選手らに、予防策や解決策が提供されなくてはならない」

報告書によると、投稿者300人以上が特定されている。
それらの詳しい情報は、「現実世界における対策を取りやすくするため」当局と共有するという。
特定可能な暴言投稿の38%がヨーロッパ、36%が南米を拠点とするアカウントから発信されたという。

■代表別ではフランスが最多
昨年のW杯について報告書は、「ソーシャルメディア各社の罵倒や脅迫への対応は大会を通して進化したが、特に英語以外のコンテンツに依然として多くの盲点があると思われる」とし、次のように説明した。

「個人に対する人種差別が多く、選手300人以上が標的にされた。罵倒の大部分は少数の有名選手たちに集中していた」
「ホモフォビア(同性愛嫌悪)に関するものが多く、プラットフォーム側の対応は文化の違いもあって分かりにくく、行動を妨げていたように見受けられた」

罵倒のメッセージが最も多かったのはツイッターで1万3105件だった。
以下、インスタグラム(5370件)、フェイスブック(979件)、ユーチューブ(113件)、TikTok(ティックトック、69件)の順に多かった。

報告書によると、罵倒の投稿が最も増えたのは、イングランドが準々決勝でフランスに負けた後だった。
この試合では終盤、イングランドのハリー・ケイン選手がペナルティーキック(PK)を外した。
最も多くの罵倒を受けた代表チームはフランスで、2番目はブラジル、3番目はイングランドだった。