韓国で「塩」が商品棚から消えた…買いだめの理由は「処理水の海洋放出」　野党代表は「核排水」と発言
2023年6月19日 21時18分

　【ソウル＝木下大資】韓国で塩の買いだめ現象が起きている。東京電力福島第一原発の処理水による海洋汚染に不安を抱く人が多く、海水から精製される天然塩を処理水放出前に買い込もうとする消費者心理からの行動とみられる。
　大手スーパー「イーマート」の広報によると、今月1〜14日の塩全体の販売量は前年より55.6％増。天然塩は2倍以上に増えた。19日時点の塩5キロの平均小売価格は1万3094ウォン（約1400円）で、平年の約8000ウォンより6割強高くなっている（韓国農水産食品流通公社調べ）。
　雨が多く天然塩の生産量が減り、生産者が梅雨を前に出荷量を調整した影響で価格が高騰したとの見方もある。だが福島で処理水の放出設備の試運転が始まった12日以降、各地の店舗の商品棚から実際に塩が消える様子がメディアで報じられている。
　処理水放出を巡り、尹錫悦ユンソンニョル政権は国際原子力機関（IAEA）などによる科学的・客観的な安全性の検証を尊重する立場なのに対し、最大野党「共に民主党」の李在明イジェミョン代表は処理水を「核排水」と呼び、政府の対応に批判を強めている。
　海洋水産省の宋相根ソンサングン次官は19日の会見で「国民に過度で不必要な心配を引き起こす」と李氏に自制を要求。放出された処理水が韓国に及ぼす影響はほぼないとの専門家の見解を紹介し「天日塩は安全だ」と呼びかけた。天然塩の価格が上昇を続ける場合は韓国政府が一定量を買い上げ、割引して供給することも検討している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/257694
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