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呂布らは徐州の城門へ駆け入ろうとすると、やぐらの上から矢が降ってきた。
そして、糜竺(びじく)があらわれ、
「この城は、汝が劉備様からだまし奪ったもの。汝らは行きたい方角へ落ちていけ」
と罵った。
それを聞いた呂布は、「陳珪、顔を見せろ」とさけぶと、
糜竺は、「陳珪老人は奥で祝杯をあげている」と言い、楼の内にかくれた。
陳珪が裏切ったと信じられなかったのか、しばらくの間、呂布はその場から去らなかった。
陳宮は、呂布の醜態に腹を立て、ひとり先へ駒を引き返していくと、
呂布もあわてて後を追ってきた。
呂布と陳宮は、張遼(ちょうりょう)と高順(こうじゅん)のふたりが守る
小沛(しょうはい)の城へ向かった。

すると、彼方からこちらの方へむかってくる軍を呂布と陳宮は見た。
それは張遼と高順の軍であり、小沛の兵をすべて率いていた。
張遼と高順は言った。
「二刻ほど前に、陳登が馬を飛ばしてきて、
わが君が曹操の計にかかっておりますので、
徐州と主君を救い奉れ、との知らせを受けたので、参ったところでござる」

それを聞いた呂布は小沛へ兵を進めた。
小沛の城壁の下までくると、小沛城の高やぐらにいた陳登が声高に笑っていた。