>>32
曹操軍は呂布のいる下?の城を取り囲み、
曹操自身が二十騎ほどを従えて、泗水際まで駒を出し、
「呂布に会わん」と城中へ呼びかけた。
呂布はやぐらに現れた。
曹操は言った。
「君と我と、なんの仇があろうか。
予はただご辺が袁術(えんじゅつ)と婚姻を結ぶと聞いて、
攻め下がってきたまでである。
なぜならば、袁術は皇帝を自称して、天下をみだす反逆の賊である。
いま、戈(ほこ)を伏せて、この曹操に従うならば、
天子に奏して君の封土(ほうど)と名誉とを必ず確保しておみせしよう」
呂布は言った。
「丞相。しばらくの間、呂布に時刻の猶予(ゆうよ)をかし給え。
城中の者とよく商議して、降使をつかわすことにするから」
傍にいた陳宮は、呂布の返辞に驚いたのか、大声で曹操へ言い返した。
「この陳宮がおる以上、わが主君だけは欺(あざむ)かれんぞ。早々退散しろ」
そう言って、陳宮は矢を曹操へ向けて放った。
曹操は激怒し、左右の二十騎に向かって、総攻撃を命じた。

呂布と陳宮は言い争いとなり、高順や張遼たちが諫めた。
呂布は諫めを聞き、陳宮に策を求めた。
陳宮は言った。「掎角(きかく)の計(はかりごと)しかありません。
将軍は精兵を率いて、城外へ出られ、それがしは城に在って、相互に呼吸をあわせ、
曹操をして、首端(しゅたん)の防ぎに苦しませるものであります」
聞くや否や、呂布は出城の用意にとりかかった。