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呂布軍の大将である高順と張遼の二将は、西の門から脱出を試みたが生け捕られ、
南門にいた陳宮は、ここを死場所という覚悟をしていたのか、防戦に努めていたが、
曹操軍の大将徐晃(じょこう)に出会い、捕虜となった。

曹操は、劉備に座を与え、軍事裁判を開いた。
曹操は何とかして陳宮を助けたいと思っていたのか、陳宮に質問を繰り返し、
助けるための糸口を探していたようだった。
しかし陳宮は、「ただ、死あるのみ。早く首を打ち給え」と言い、自ら刑場へ向かった。
曹操はしきりと涙を流した。
陳宮の首は四尺も飛んだ。

曹操は「次は呂布の番だ」と言うと、呂布は急に大声でわめきだした。
「丞相。呂布はかくの如く、降伏している。
われを助けて、部下とし、天下の事に用いれば、四方を定める力ともなろう」
曹操は横にいる劉備に呂布をどうするか小声で聞いた。
劉備は言った。
「呂布はむかし、養父の丁原(ていげん)を殺害して、董卓(とうたく)に降って行きながら、
またその董卓を裏切って、洛陽にあの大乱をかもした……」
呂布は劉備のことばを耳にすると、「轅門(えんもん)の戟を射て助けた恩を忘れたか」と、
劉備をにらみつけた。
曹操は「呂布の首をしめてしまえ」と命じた。
呂布は暴れたため、遮二無二抑えつけられたまま、その場で縊殺(いさつ)されてしまった。

張遼(ちょうりょう)を斬る番がきた。
劉備は突然立って、曹操に「張遼は、下?城中(かひじょうちゅう)、
ただ一人の心正しき者です。願わくは、ゆるしたまえ」と拝した。
曹操は劉備の乞いをいれて張遼を助命したが、
張遼は恥じて、自ら剣を奪って死のうとした。
近くにいた関羽が張遼の剣を奪って止めた。

曹操は軍事裁判が終わると、許都へ帰った。