「盗撮されていませんか」。冷静な一言が女子高校生を救った。電車内で盗撮していた容疑者の現行犯逮捕に貢献したとして、京都府警向日町署は、長岡京市の大学生、上兼栗(うえかねくり)こころさん(24)に感謝状を贈った。

4月下旬、阪急電車の車内。中学校の学生支援ボランティアに向かう途中、隣にいたスーツの男のビジネスバッグが、女子高校生のスカートの下に不自然に置かれていることに気付いた。
バッグをよく見ると、ファスナーの隙間からスマートフォンのレンズがのぞいていた。女子高校生の立つ場所に合わせ、バッグの位置を動かす男。盗撮を確信した上兼栗さんは、自分より年長に見えた男に対し、丁寧な口調で問いかけた。「盗撮されていませんか?」

男には明らかに焦りの表情が見えた。上兼栗さんがスマートフォンを確認しようとすると男から抵抗を受けたが、居合わせたほかの乗客がスマホを取り上げてくれた。

駅で男が降ろされ、警察官や駅員があわただしく対応しているのを見て、自分が果たしたことへの実感が湧いた。そして状況を把握し、言葉もなくおびえていた女子高校生の姿が脳裏に焼き付いている。

24年の人生で盗撮に遭遇したことも、対処法を学んだこともなかった。それでも「お年寄りに席を譲るのと同じように、気づいたときには体が動いていた」(上兼栗さん)。
教員を目指して勉強中だといい、教師としての理想を問われると「自分が模範となり、いじめなど声をかけにくい状況でも声をかけられるように導きたい」と力を込めた。

向日町署の田村博之署長は、被害を未然に防ぐためには「社会みんなが見ていることを犯人に感じさせるような社会機運の向上が重要」と述べ、上兼栗さんに謝意を伝えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b9e481f0713d1bacfc2107b8e507fae78072a7e

感謝状を受け取る上兼栗こころさん

https://i.imgur.com/gfGx21Y.jpg