彼氏は契約金1億円の二軍のエー 本当は…(探偵:岡田真弓)
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将来有望だという、プロ野球チームの二軍投手と交際している娘のために、その彼の将来の見込みについ調査して欲しいとの依頼が探偵事務所に舞い込んできた。「将来の見込み」という業務は探偵業務から割り出せるという保証がなく、一度は断るべきというのが社内の見解だったが、状況を調べる内に、別の疑念が高まっていった。
彼は本当にプロ野球選手なのだろうか? という疑問である。
https://gendai.media/articles/-/109443?page=1&imp=0 友香さんと彼とのデートを探偵たちはずっと追尾し、その詳細を映像として記録。
この時の2人はどこにでもいる若いカップルと同じように、時々腕を絡ませたり手を繋いだり、微笑ましいほど仲睦まじかった。 しかし、デートの時間は短く、その後、食事をして2人そろって電車に乗り、ある郊外の駅で下車。2人が向かった先は、彼が所属するチームの独身寮であった。
どうやら、その独身寮は、女性の立ち入りを禁止しているらしく、門の前で名残惜しそうな友香さんを置いて、彼だけが中へ。
「もういいから、早く帰って。誰かに見られたらまずいからね」
その言葉に従って、友香さんは後ろ髪をひかれる思いを断ち切るように、踵を返すのだった。 2人のデートは終了したが、調査はこれからが本番だ。
探偵たちは友香さんの尾行を終了し、二軍選手の彼の動向に迫ることにした。なぜならカフェで目撃したある行動に、探偵たちは疑念を抱いていたからだった。
しばらく寮の入り口付近で張り込んでいると、彼がふいに顔を覗かせ、周囲を窺うように見まわしている。おそらく彼は友香さんがいないことを確認したのだろう。それから駅とは逆方向に歩き出した。どうやら寮には暮らしていないようだ。
実は、友香さんと待ち合せしたカフェで、彼は投球フォームについて熱心に解説していた。しかも右腕を振りかぶり、「スピードボールは・・・、カーブは・・・」と、席に座ったまま、実際に投げる様子を再現していたのだ。 しかし、彼の名前と同じ二軍投手は、左投げ。つまり、彼は偽物である可能性が極めて高い。
彼の後をつけていくと、郊外のファミレスへ。すると、そこでも二十歳そこそこの女性と待ち合せていたのだ。さらに驚いたのは、この女性からも、現金が入っていると思われる封筒を受け取っていた。
その一部始終をすべて撮影し、後々、どのような形になろうとも、友香さんにきちんと真実を受け止めてもらえる証拠として確保したのである。 一方、こうした状況を把握した上で、別動隊が本物の選手の所在についても、同時にリサーチを開始した。すると、このデートの日、実在の選手は宮崎県で行われている「みやざきフェニックスリーグ」の試合に出場していたことが判明。
「みやざきフェニックスリーグ」は、各球団の二軍選手や独立リーグのチームが参加して、10月に行われる若手育成のための短期リーグ戦だ。
これで、友香さんが交際している自称プロ野球選手の彼は、実在する人物の名を騙っていることが裏付けられた。
後日、寿賀子さんは友香さんを伴って弊社を訪れた。もちろん、結果を聞くためだ。
そして、彼が名乗った選手は実在するものの、その特徴があらゆる点で合致しない旨、ズバリと切り出した。 まず、映像を精密に分析したところ、本物は身長が球団の公式データでは186センチであったが、彼は175センチ程度。
マスクをした目元の映像と、公式プロフィールの目元をオーバーラップさせると、こちらも一致せず別人であることが分かった。さらに、本物は左投げであること、デートの当日、本物は宮崎にいたことを説明した。
ここまで説明すると、寿賀子さんは唖然として言葉にならないようであった。友香さんはというと、こちらもキツネにつままれたような、まだピンと来ていない様子だったが、絞り出すように言葉を発した。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています