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わが友ヒトラー ウィーン編
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0001それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:02:21.22ID:idQXOWs+0
悪名高きアドルフ・ヒトラー
そんな彼を友と呼ぶ男がいた

一九〇〇年代のドイツ 二人の少年の物語

参考・引用
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
アドルフ・ヒトラーの青春(三交社)
0002それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:03:42.22ID:idQXOWs+0
一九〇八年二月
ウィーン駅

ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ…

( ; ›ω‹ )「あう…あう…」
駅の人の多さにボクは戸惑うしかなかった
勇気を振り絞り、前に出ようとしても

(# ゚Д゚)「どけ」
( ;´-ω-` )「す、すいません…」

(# ゚Д゚)「邪魔だ」
:( ;˙꒳˙;):「あう…」

(# ゚Д゚)「Fack You!!」
:(´ºωº`):「あわわわ」

人々は怒鳴りながらボクを元の場所に押し戻してしまう

(´;ω;`) .。oO(怖い……か…帰りたい…)
アドルフは一体どこにいるんだろう…
迎えに来てくれるって言ってたのに
0003それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:04:48.66ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)ノ「おーいクビツェク、ここやー!」

(。゚ω゚)「アドルフ!」
(´^ω^`)「ああよかった…」

( ;´-ω-` )「一生ここをさまよい続けるのかと思ったよ…」
彡(゚)(゚)「おおげさやで 全く相変わらずやなぁ」

(´・ω・`)「そういう君はすっかり都会に馴染んでるみたいだね」

グレーの冬用コートにグレーの帽子、象牙の握りのついたステッキ
こっちでも相変わらずアドルフの服装はキチッとしてるなぁ

彡;(゚)(゚)「トランクでかすぎるやろ…完全なお上りさんやんけ……」
(´ᴖωᴖ`;)「はは…お母さんが色んなもの詰めこんでさ」
0004それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:05:09.27ID:idQXOWs+0
ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ…

彡;(゚)(゚)「とりあえずこッから出るで 五月蝿くてかなわんわ」
( ;´-ω-` )「うん、ぜひともそうしたいね…」

彡(゚)(゚)ノ「ほないくで」

アドルフが住むアパートに向かった
歩くこと数十分

彡(゚)(゚)「ここが今のワイの住み家や」
(´・ω・`)「あれ…予想以上に綺麗なところだね…」

彡(-)(-)「表向きだけや」

ガチャ
(。゚ω゚)「うわっ、石油くさっ!!」

彡(゚)(゚)「大家は留守みたいやな、後で紹介したる」
彡(゚)(゚)「まあ、入れや」
0005それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:05:48.10ID:idQXOWs+0
アドルフの部屋は紙だらけで
ろくに足の踏み場もないような有様だった

彡(゚)(゚)「少し休憩しようや」
(´^ω^`)「食べ物、沢山持ってきたよ」

彡(^)(^)「お、まじでか!」
ガサーとアドルフはスケッチをどかし、場所を確保した

(;´・ω・` )「アドルフ そんながさつに絵をどけていいの?」

彡(゚)(゚)「べつにかまへん」
彡(゚)(゚)/「それよりメシや!」

(`・ω・´)「そうだね それじゃあいくよ」
0006それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:06:23.43ID:idQXOWs+0
ジャジャーン
(´ᴖωᴖ`)「まずはジャガイモのパンケーキ」

彡(^)(^)「お、ドイツ家庭料理の代表格やな!」
彡(-)(-)「母さんが作ってくれたのを思い出すで……」パクッ

彡()()「あ〜甘さが抑えてあって塩味が染みとる…」
(´ᴖωᴖ`)「だから肉料理にも合うんだよね」
0007それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:06:48.10ID:idQXOWs+0
そんなわけで次は〜
(*>ω<*)「はいローストポーク」
彡(゚)(゚)「肉食うの久しぶりや!」ガブッ

彡(>)(<)「あ〜この歯応えとパンケーキのふっくら感がええな」
彡(^)(^)「ベストマッチやで!」

そして締めは〜
(´ᴖωᴖ`)「ブフテルン菓子 バニラソース付」

彡(⦿)(⦿)「お、ワイの好物やん!」
彡(-)(-)「おばさん 覚えとってくれたんやな…」モグー

彡(-)(-)「この甘み…食感…チェコ生まれのものとは信じられん…」
彡(゚)(゚)「美味や」
0008それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:07:17.43ID:idQXOWs+0
彡(^)(^)(´^ω^`)
それから、ボク達は王様のようにたらふく食べた

彡(^)(^)「家庭の味に、そしてクビツェクのウィーン進出に乾杯や!」
(´^ω^`)「かんぱーい!」

      カツーン
彡(^)(^)つ”*∀∀*”⊂(´^ω^`)
0010それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:08:34.76ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「そういえば、ステファニーは今どうしてるんや」
(。゚ω゚)「あ……」

彡(•)(•)「特命を持たせたよな?」
( ´-ω-` )「……」

たしかに、ボクはアドルフからステファニーを監視するよう特命を受けていた
彼の頭の中では次のような筋書きができあがっていた
0011それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:09:20.90ID:idQXOWs+0
J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフがいなくなったことを心配する)

J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフに何か不幸が起きたかもしれないと心配する……)

J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフが病気になったのではないかと心配する……)

J(„❛⌄❛„) .。oOもしかしたらすでに、アドルフは死んでしまったのではないかと……)

そして居ても立ってもいられなくなったステファニーは
慌てて駆けだし、橋を渡り、ボクの家を訪れ

J(„❛ꇴ❛„)「お友達に何か起こったのでしょう?」
と聞きに来るというものだった
0012それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:09:49.69ID:idQXOWs+0
(´ᴖωᴖ`;) .。oO(あり得ないけどね)
それに実際になにも起きなかった
まあ、報告できるようなことは手紙にして四ページぐらいはあるけど
いちいち説明するのも面倒だし……適当にごまかしておこう!

彡(゚)(゚)「貴様…任務を怠ったな…」
(。・ω<)ゞ「テヘッ」

彡(●)(●)「ちっ、極刑に値する過ちやぞ」
0013それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:10:22.28ID:idQXOWs+0
夕方
彡(゚)(゚)「クビツェク、今から宮廷劇場にいくで!」
( ;´-ω-` )「ええ…今日はもう休みたいんだけど…」

彡(•)(•)「ウィーンに来て、宮廷劇場も見ずに眠れるわけないやろ!」
彡(゚)(゚)ノ「はよ行くで!」

┗(゚)(゚)ミ┓三三3    (‘・ω・`; )
アドルフはさっさと歩いて行った

(´・ω・`) .。oO(うーん、この感じもひさびさだなぁ)

彡(゚)(゚)「なにやっとるんや!はよ、こいや!!」
(´・ω・`)「うん」
0014それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:10:50.51ID:idQXOWs+0
宮廷劇場前
(。゚ω゚)「おお、ホールからもうリンツのとは比べ物にならないや…」

彡(-)(-)「大理石の欄干、ビロードの絨毯、金色に化粧された天井…」
彡(゚)(゚)「これが大都市のなせる技や」

それから、教会、聖堂、塔と……
大都市の豪華絢爛な建物を見て回った
リンツのものとは何もかもが桁違いだった
0015それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:11:16.84ID:idQXOWs+0
(´-ω-`)「まるで別の惑星に連れてこられたみたいだ」

(¬ω¬)チラッ   彡(゚)(゚)
ひときわ青白く華奢で大きな目
アドルフはまるで宇宙人のよう
きっとボクはこの宇宙人にさらわれて…洗脳されて……

彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「この先に収容所があるんや…」

彡(●)(●)「ぶちこんだろか…?」
(。゚ω゚) .。oO(こころを読まれた!!)
0016それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:11:49.40ID:idQXOWs+0
彡;(゚)(゚)「たくっ 見惚れすぎやで、真夜中になってもうた!」
(`・ω・´;)「なにいってんだい アドルフの方が見惚れてたくせに!」

彡(^)(^)「すばらしい芸術は何度見てもいいもんや!」

こうしてボク達は帰宅した
不機嫌な管理人にチップを払うはめになったけど

彡(-)(-)「ちっ、足下見おって…」

部屋
彡(゚)(゚)「でな、クビツェク、ケルントナー通りの風景は…」
( ˘ω˘ )「うん…うん…Zzz」

彡(゚)(゚)「疲れ果てて寝おった」
彡(-)(-)「相変わらず貧弱な奴やで」

気づけば、眠っていた
この日はあまりに色々なことがありすぎた
家族との別れ、列車の旅、喧騒、宮廷劇場、雑踏、裏路地、・・・

そして明日は、新しい部屋探し
それもピアノを弾けるところじゃないといけないから

(´-ω-`) .。oO(大変そ…Zzz)
0017それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:12:25.84ID:idQXOWs+0
翌日

(´・ω・`; )「うーん、やっぱりないね…」
(´-ω-` ; )「ピアノを置いていいかって聞くとどこからも苦い顔される…」

彡(゚)(゚)「まっ、当然やな」
彡(゚)(゚)/「駄目で元々や 根気強くいくで」

(´・ω・`)「うん、そうだね」

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからもボクとアドルフはウィーン街を巡ったが
0018それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:13:22.29ID:idQXOWs+0
:(´ºωº`):「まずいよ…もう夕方だ」
(;´・ω・` )「今日中に決めて明日、音楽院を受験する予定だったのに…」

彡(-)(-)「しゃあないな…」
彡(゚)(゚)/「奥の手や 着いてこいや」

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`;)┓三三3
アドルフは説明もなくさっさと前を歩いていった
そして
0019それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:13:45.47ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)「あれ?ここって…」
( ;´-ω-` )「結局、帰ってきただけじゃないか…」

彡(゚)(゚)「なぁにワイに任せて、お前は部屋で待っとれ」
(;´・ω・` )「一体どうするつもりなんだろ…」

待つことしばらく

バタン!
彡(゚)(゚)「大家と話がまとまったで!」
彡(゚)(゚)「ここを引き払って二階の大きい部屋に移ることになった」

彡(^)(^)「もちろん、ピアノもOKや!」
(。゚ω゚)「ここの上!?」

彡(-)(-)「まあ……南京虫がたくさんおるという欠点はあるが…」
彡(゚)(゚)「家賃は二十クローネとお得やぞ」

( ;´-ω-` )「うん…そうだね…贅沢は言えないね」

街を巡りまわった末に、元々借りていた部屋の上という
なんとも言えない結果になったが…
アドルフは都会に馴染んでおり
その行動力と話術はさらに磨きがかかっていた
0020それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:14:27.27ID:idQXOWs+0
翌日
(;`・ω・´)「じゃ、音楽院の受験に行ってくるよ」
彡(^)(^)「おう!頑張るんやで」

テストはすぐに受けることができた
楽器の演奏、その次は歌…そして筆記試験…
ボクは音楽史については独学だったから少しそこが不安だった
0021それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:15:05.22ID:idQXOWs+0
(◎෴◎)「受験番号三三四番アウグスト・クビツェク君…」
(´-ω-` ; ) .。oO(ドキドキ)

v(◎෴◎)「おめでとう、合格だ」
(。゚ω゚)!!!

(´^ω^`)「ありがとうござます! ありがとうございます!」

合格発表の後、校長先生から直々にそれはもう
至れりつくせりなカリキュラムの説明がされた

プロの指揮者も紹介され
\(◎灬◎)

その人の下で総譜の研究や指揮を学べることになった
そして、ボクはヴィオラ奏者として学内オーケストラの一員にもなった
0022それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:15:35.29ID:idQXOWs+0
(´-ω-`) .。oO(ウィーンにきた当初は……)
混乱し、戸惑い、先行きがどうなるか不安だったけど……

(`・ω・´) .。oO(今やボクは音大の学生)
これからは、音楽が人生の中心になるんだ!

(´ᴖωᴖ`) .。oO(アドルフ…)
今すぐ君に知らせたいよ
これでようやく、ボクも君と同じ芸術家のスタート地点に立ったんだよ!

ガチャ
(´ᴖωᴖ`)「ただいま アドルフ!」
(´・ω・`)「あれ、いない?」

(・ω・`;≡;´・ω・)「アドルフー!」

シーン

(´・ω・`)「どこいったんだろ?」
0023それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:16:24.65ID:idQXOWs+0
夜になろうとしていた

ガチャ
彡(゚)(゚)……

(´ᴖωᴖ`)「アドルフ、遅かったね! どこに行ってたんだい?」

彡(゚)(゚)「ああ…少し……な」
彡(゚)(゚)「で、音大の受験どやった?」

(`・ω・´)「ふふふ…」
(´^ω^`)「バッチリ合格さ!」

(´ᴖωᴖ`)「これで二人でとも大学生だね!」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)?
彡(^)(^)「おお…よかったやないか ホンマに…」

(´ᴖωᴖ`)「うん!」
(´・ω・`)「それでね、ボク…ボク……」

彡(゚)(゚)「なんや…?言いたいことならはっきり言いや」

(;´・ω・` )「笑わないで聞いてよ…?」
(;`・ω・´)「ボクは…本気で指揮者になろうと思うんだ!」
0024それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:17:21.62ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「…指揮者」
(´ᴖωᴖ`)「うん 紹介された先生が素晴らしい人でさ」

彡(•)(•)「先生…?」
(´ᴖωᴖ`)「うん! 普段は大学で教授をしてて指揮者も務めてる凄い人なんだ!」

彡(•)(•)「…教授?」
(´ᴖωᴖ`)「うん! 教授の教えのもとレールから落ちないように頑張らなきゃ」

彡(•)(•)「レール…!?」
(´ᴖωᴖ`)「うん!」

彡(•)(•)「……」
(´・ω・`)「どうしたの?」

彡(-)(-)「……せやな、しっかり勉強せなアカンな」
彡(゚)(゚)「後悔しないように精一杯、頑張るんやぞ」

(´^ω^`)「うん!!勿論さ!!」

彡(^)(^)「…今日はクビツェクの合格祝いや! ジャンジャン飲むで!」
(´^ω^`)「飲もう飲もう!」

後になって思う
この時、アドルフはボクの合格をどう思っていたのだろうかと……
0025それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:19:29.92ID:idQXOWs+0
数日後
(´・ω・`)「ここにグランドピアノを置きたいんだけど…」

彡;(゚)(゚)「おいおい、ワイのことも考えろや…」
彡(゚)(゚)「もっと奥に置けるやろ?」

(´ᴖωᴖ`)「はは、アドルフは部屋中を歩き回るのが癖だからなぁ」

彡(゚)(゚)「まっ、その位はええわ」
彡(-)(-)「ピアノの音色によってワイの知識欲も活発になるってもんや」

彡(^)(^)「よっしゃ、今日は新しい住人のグランドピアノに乾杯や」
彡(^)(^)『かんぱーい!』(´ᴖωᴖ`)

       カツーン♪
彡(^)(^)つ”*∀∀*”⊂(´^ω^`)
0026それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:21:28.00ID:idQXOWs+0
朝六時
(´ω`)「ふあぁーあ さて、大学に行くか」
彡()()「ンゴー ンゴーZzz」

(`・ω・´;) .。oO(そーっと そーっと)

ガチャ
アドルフの朝は遅い
彼はいつも夜更けまで勉強をしたり読書をしている
それ対してボクはというと
夜に楽器を弾くわけにもいかないから、さっさと寝て朝早く学校に行く
0027それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:21:32.86ID:JjOkq8ZZ0
本が品切してるから読めないんだけど、当時のクビツェクssって本の内容をどれだけ描ききってるんだろ。あんな分厚い本をあそこまで短くして面白いのは凄いけどもっと沢山読みたかった
0028それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:22:08.77ID:idQXOWs+0
学校
(◎灬◎)「ふむ、君の知識は目に見張るものがある」
(´ᴖωᴖ`)「ありがとうございます」

(◎灬◎)「君になら任せられるかもな…」
(´・ω・`)?

(◎灬◎)「実は課外レッスンの仕事の枠があってね」
(◎灬◎)「給料も多くはないが出る どうだい、やらないか?」

(;`・ω・´)「ぜ、是非お願いします!」

ボクは音楽院にとても早く馴染むことができた
正当に評価され、優秀だと褒められた
こうしてボクの毎日は満足と幸福、元気でいっぱいだった

(´^ω^`)「来期の時間割はこんなところでいいかな♪」

彡(-)(-)「チッ…」
0029それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:23:44.28ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)「ただいま」
彡(-)(-)「うーん……」

(´・ω・`) .。oO(あっ!アドルフが勉強している……)
静かにしないと……
邪魔でもしようものなら、大変なことになる

(´・ω・`) .。oO(それにしても……)
アドルフが勉強を始めると
いろいろな本やメモ書き、建物のスケッチ画があらゆる所に散乱する
床やテーブル、アドルフの寝床のソファーにはもちろん
ボクのピアノやベットにまで侵略してくるから困ったものだ
0030それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:24:36.88ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(でも……)
アドルフの勉強方法は見ていておもしろい
美大の勉強は多面的なようだから何をしているのか内容はさっぱりだけど
彼は散らばった自分の作品を興奮しながら眺め
僅かに空いたスペースをバレエのようにつま先歩きしながら
気になったものを見つけ、変更し、修正する

その時にアドルフは、大げさな身振り手振りを交えながら独り言を呟く
まるで一人で演劇をしているかのようだ
0031それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:25:07.22ID:idQXOWs+0
彡(●)(●)「あーアカン!頭が煮詰まってきよった!」

Σ彡(゚)(゚)「お!なんやクビチェク。帰ってきとったんか」
(´・ω・`)「うん、少し前にね」

彡(゚)(゚)「ピアノ使うんか?」
(´・ω・`)「うん」

彡(゚)(゚)「分かったわ、じゃあワイは外に出とる」
(´・ω・`)「またシェーンブルン公園に行くの?」

彡(゚)(゚)「せや、あそこは誰にも邪魔されずに勉強できる」
彡(^)(^)「おあつらえ向きにベンチまで置かれとって最高や!」

彡(゚)(゚)/「ほな」
アドルフは散乱していた資料を戸棚に戻し
本を小脇に抱えて出て言った

(´・ω・`)「よし、ボクはピアノの練習だ」
0032それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:26:02.85ID:idQXOWs+0
真夜中

カキカキカキ
カキカキカキ
カキカキカキ

(´-ω-` ; ) .。oO(……ん、なんだよこんな時間に……)
アドルフがわずかな光のもと、机に向かっていた

彡(゚)(゚)「ん、なんや…起きたんか?」
(´ω`)「ふぁーあ うんモニャモニャ……」

(´-ω-`)「……何かいてるの?」
彡(゚)(゚)ノ「これや!」
とアドルフから三枚の紙が渡された

一枚目には神々しい山々、樫の巨木、二人の屈強な男と黒い雄牛
二枚目には祈る祭司と兵士…何かの儀式かな?
三枚目にはストーリーが書いてあった
0033それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:26:27.19ID:idQXOWs+0
( ¯•ω•¯ )「なにこれ?」

彡(゚)(゚)「見て分かるやろ劇や!」
彡(>)(<)「邪教を打ち倒す二人の戦士の物語や!」

(´・ω・`)「ふーん…」
彡(゚)(゚)「なんや 反応うすいな…」

(´-ω-` ; )「ごめん …明日朝はいからもう寝るね…」
彡(•)(•)「ほーん、学生さんは大変やな」

( ˘ω˘ ) .。oO Zzz
最近、アドルフが少し攻撃的になってきたと思う
まあ、今に始まったことじゃないんだけど…
なんか違和感があるんだよね
今までと違うような……
0034それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:27:53.96ID:idQXOWs+0
彡(●)(●) ###
アドルフは歌っていた
怒りをぶちまけながら猛烈な憎悪を込めて社会を批難する歌詞だ

アドルフの感情の吐露はボクの心を揺さぶると同時に
心配で一杯にした
何が彼をそんなにもイラつかせ、情緒を不安定にさせているのか
ボクには分からなかった
0035それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:28:32.32ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「ワイはステファニーのことを諦める」

(;´・ω・` )「えっ!」

(;´・ω・` ) .。oO(急にどうしたんだよ……)
アドルフにとってステファニーJ(„❛ꇴ❛„)の存在は……
美化された空想の中だけとはいえ
唯一、現世に残されていた愛という絆だった
この残された愛情は、クララおばさんが亡くなった後も
変わらず彼の側にあり、彼を包み込んでいた
でもアドルフはどういうわけか、その大切な思いを捨て去ろうとしている
0036それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:29:01.61ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` ) .。oO(どうにかしないと……)
(;´・ω・` )「そんな悲しいことを言わず、手紙でも書いてみたらどうだい?」

彡(゚)(゚)「そんなことをしても無駄や……」
彡(-)(-)「邪険にされるのが目に見えとる」

(;´・ω・` )「そんなことないよ……愛されて悪い気を持つ人はいないよ」
彡(゚)(゚)「愛?……そんなもんがなにになると言うんや?」

彡(-)(-)「どうせ彼女にはステキな婚約者が用意されとるはずや……」
彡(゚)(゚)「上流階級の人間なんてみんなそうや……」

彡(゚)(゚)「打算的な婚約で社会の利益を不当に保証しあっとる」
彡(-)(-)「ステファニーはそういった世界の住人なんや……」
0037それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:29:37.20ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` ) .。oO(どうしたらいいんだろう……)
たしかに…アドルフの言うことは……一理あるのかもしれない
それに……
見込みのない恋に恋焦がれるより
諦めた方が心理的負担は減ることだろう

でも、彼女の存在がアドルフを支えてきたのも事実だ
一時の気の迷いで捨ててしまっていいものでは決してないはずだ

(;´・ω・` )「アドルフ、君は疲れてるんだよ」
(;´・ω・` )「とりあえず、今日は寝ようよ」

彡(゚)(゚)「……せやな」
0038それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:30:14.19ID:ut6ZHk6a0
パクリスレやん
0039それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:30:54.35ID:idQXOWs+0
彡(●)(●)「大学なんてクソや!」
彡(●)(●)「古くて時代遅れの上級役人、理解不能な官僚、愚かな木っ端役人!」

彡(●)(●)「こんなゴミどもを生み出す大学なんか全部消し飛べや!」

アドルフの顔色は死人のように青白く
口元からも血の気が引き、唇はほとんど真っ白
でも目は燃えるように輝いていた
ぞっとするくらい…
0040それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:31:48.91ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「どうしたんだよ急に……」
(`・ω・´;)「君だって大学で色々と学んでるんじゃない…」

彡(●)(●)「あの連中はワイを認めずに放り出しおった…」
彡(◦)(◦)「ワイは大学から締め出されたんや…」

(´•ω•) .。oO(あっ…)
アドルフ、美大に行けてないんだ
なにか変だとは思ってたけど
いつからだろう…たしかに最近イライラしてたけど……

彡()()「なんであんな分けのわからん絵を描くアホを入学させて……」
彡(●)(●)「ワイが落とされなアカンねん!!」
0041それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:32:34.10ID:idQXOWs+0
(。゚ω゚) .。oO(え?どういうこと…)
もしかして美大の入学試験に落ちたの…
そんなはずは……
だって今まで学生として勉強していたじゃないか……
本当は受験に失敗して浪人していたの?

(。゚ω゚) .。oO(え?どういうこと…)
だってクララおばさんがまだ生きていた頃…
クララおばさんはボクに手紙を見せながら
アドルフは大学で勉強を頑張っているって
苦しみながらもあんなに喜んでいたじゃないか……

(。゚ω゚) .。oO(嘘……だったの……?)

頭が混乱してとっさに疑問が口を出ていた

(。゚ω゚)「それで、これからどうするんだい?」
彡(•)(•)「どうするんだい、と言ったか?」

(´・ω・`)……
0042それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:33:39.72ID:idQXOWs+0
( ´-ω-` ) .。oO(ボクは本当にバカだ)
自分のことばかりに浮かれて、まったくアドルフを気にかけていなかった
きっと、この質問も彼は何度も何度も自問自答しただろう
悩む時間は嫌なほどあったんだ
アドルフはウィーンでずっと一人、孤独だったんだから…

(;´・ω・` ) .。oO(そして……)
誰にも打ち明けることも出来ずに
一人で必死に何とかしようとしていたんだ

アドルフはボクが音楽の道に進めるよう
気にかけ、応援してくれていた……
職人気質で頑固な父を説得してくれたのもアドルフだ

( ;´-ω-` ) .。oO(それに引き換え……)
ボクはなにも彼の力になれなかった
そして今もどうすればいいのか分からない

その後も、アドルフはずっと「どうする」「どうする」と呟いたまま
しばらくすると、一人、本を読みだした
0043それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:34:59.85ID:idQXOWs+0
あくる日 宮殿通り

彡(゚)(゚)「はぁー、この国はホンマ駄目やな」
彡(-)(-)「チェコ人、ハンガリー人、スロバキア人、ルーマニア人、イタリア人…」

彡(゚)(゚)「ようこんだけの民族を寄せ集めたわ…」
彡(-)(-)「愚かや 実に愚かや」

彡(•)(•)「この間おまえと行った遊園地もなんやあれは!」
彡(-)(-)「大の大人があんなおもちゃでばか騒ぎしおって…」

(´・ω・`) .。oO(ボクはそれなりに楽しめたけどね…)

アドルフと歩いていると、眼の前に豪華絢爛な馬車が過ぎ去っていった

(`・ω・´)「あ、アドルフ、皇帝だよ!」
(`・ω・´)「皇帝が馬車に乗って宮殿に入っていくよ!」

彡(゚)(゚)「ほーんで?」

(´・ω・`)「即位六十年だから最近は忙しいんだろうね」
彡(゚)(゚)「あーはいはい」

彡(゚)(゚)「なーにが四十二年の平和を築いた皇帝や……」
彡(●)(●)「何もしとらんだけやんけ!!
0044それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:35:53.20ID:idQXOWs+0
彡(•)(•)「平穏な世界なんてつまらんだけや!」
(;´・ω・` )「この前ロシアとどこかの国が戦争したじゃない」

( ´-ω-` )「なんて言ったかな?極東の……」
(´・ω・`)「ベートーヴェンのジャジャジャジャーンみたいな名前の国」

彡;(゚)(゚)「なんやねんそのふざけた国…」
彡(゚)(゚)「ゆうてもワイらと関係ないやん!」

彡(゚)(゚)「さっさと起きへんかなぁー 一心不乱の大戦争!」
彡(•)(•)「んで世の中の嫌なもん全部吹き飛ばせや!!」
0045それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:36:15.70ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「今の世の中、戦争なんて起こる訳ないじゃん」
(;`・ω・´)「大学の先生もそう言ってたよ」

彡(•)(•)「いいや、近いうち革命的な事件が必ず起こるで!」
彡(●)(●)「てか起これや!起こしたる!」

(;´・ω・` ) .。oO(えぇ…)

彡(゚)(゚)「それに、この間のボスニア併合であやうく戦争になるとこやったやないか」
彡(-)(-)「あんなもん国が弱ってますって言ってるようなもんやで」

彡(゚)(゚)「やっぱり教授なんて信用ならんな!」
彡(•)(•)「クビツェク、お前も教授の話しを鵜呑みにしたらアカンで!」

彡(●)(●)「自分の頭で考えるんや!!」
( ;´-ω-` )「はいはい、解ったよ」

彡(゚)(゚)「お、国民公園についたで!」
彡(^)(^)「ここの英雄広場はパレードをするのに最適なんや!」

(´-ω-`)「自然があってリンツを思い出すね」
彡(-)(-)「せやな…住むところに関してはあの頃のがよかった…」

(´・ω・`)「それは言わない約束でしょ…」
0046それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:37:33.11ID:a6Q0bQji0
保守・・・
0047それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:38:31.87ID:idQXOWs+0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
リンツの頃と同じようにアドルフとボクはウィーンの街を歩き回った
アドルフの建物好きはさらに磨きがかかっていて
彼のお気に入りのリンク通りでは何時間も建物の説明を受けることもあった

「あそこは〜」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` ;) .。oO(帰りたい……)
0048それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:39:08.72ID:idQXOWs+0
でも、リンツの頃とは違っていることもあった
リンツの街にはあれこれと文句をつけ、改善点を挙げていたが
完成されたウィーンの街にはアドルフも感心していた

しかし、政治に関心を持つようになった彼は
大多数の住民のために健康的な住居の必要性も
視野に入るようになっていた
0049それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:39:37.52ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「この作りやと、日光や外気を得る余裕もない」
彡(゚)(゚)「なんでこんなことが起きるか分かるか?」

(´・ω・`)「わかんない」
彡(゚)(゚)「理由は簡単や、金儲けのためや」

彡(゚)(゚)「地主どもは金のために、狭く高い家を建てたがる」
彡(゚)(゚)「部屋が多いほど、利益が出るのは当然やからな」

彡(-)(-)「けど、そのために住民の生活環境が犠牲になっとる」
彡(゚)(゚)「あろうことか、地下にまで部屋を作る職業家主まで現れる始末や」

彡(•)(•)「まるで地下牢に囚人を押し込めるようや!」
彡(●)(●)「もし子供が住もうものなら死んでまうわ!!」

彡(•)(•)「さらに我慢ならんのは、住民にはそんな劣悪な環境を与えておいて」
彡(●)(●)「自分たちは郊外の庭付きの豪邸に住んどることや!!」

彡(●)(●)「有り余る財産を持っているのに搾取することしか考えん!」
彡(●)(●)/「ワイらはこの守銭奴どもを駆逐せなアカン!!!」

(;´・ω・` )「う、うん」
0050それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:40:15.86ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「ちょっと三日間ぐらい留守にするわ」
(´・ω・` )「え?どこに行くの?」

彡(゚)(゚)「先進的な集合住宅がどういったものか実際に見て来るわ」
彡(゚)(゚)ノ「ほな」

四日後
彡()()「か……帰ったで……」
(。゚ω゚)「アドルフ!?」

(。゚ω゚)「どうしたんだい?疲れ切ってるじゃないか……」
彡()()「いろ…いろと見て回ってな……けど、成果はあったで…」

彡()()ノ「ほ…れ……」
(´・ω・`)つ

彡()()Zzz……
アドルフからスケッチを受け取ると、彼は寝てしまった
0051それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:40:46.61ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(なにが書いてあるんだろ……)
ふむふむ……
どうやら一般家庭向けの部屋の見取り図のようだ
そこにはキッチン、居間、親と子で別々の部屋、お風呂と洗面所が書かれていた
驚くべきことにキッチン、お風呂、洗面所には水道が通っている

これは画期的なことだった!
普段、ボクたちが水を使おうと思ったら
部屋の外にある共同の蛇口からバケツを持って汲みに行かないといけないのに
アドルフの案はその不便さを解消するものだった

(´・ω・`) .。oO(こんな部屋に住めたらどんなにいいことか……)
0052それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:41:32.12ID:idQXOWs+0
彡(-)(-)「こんなボロいアパートも、貧民も、腐った体制もいずれ無くなる」
彡(゚)(゚)「いづれ起こる『革命の嵐』が『理想国家』を誕生させるんや!」

彡(^)(^)「社会改革や!!」
彡(-)(-)「それで新しい時代が到来し、劣悪な環境は一掃されるんや…」

彡(-)(-)「ワイの独学が完了する頃にそれはやってくる…」
彡(゚)(゚)「その時には正規の資格なんていらん!」

彡(゚)(゚)/「実際の能力だけがものをいう素晴らしい時代が到来するんや!!」

彡(•)(•)「そんときになったら覚えとれや クソ教授ども」
彡(●)(●)「ワイの出世を阻んだことを絶対に後悔させたる!」
0053それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:42:00.32ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)……
アドルフは示そうとしていた
大学に行くよりも行かない方が自分は進歩することを

(´・ω・`) .。oO(ボクは思う)
教授たちはあっさりアドルフの入学を拒否したけど
それは間違っていたと
アドルフを迎え入れていれば
彼はきっとどの学生よりも情熱的に勉強に励んだだろう

でも皮肉なことに、アドルフを入学させなかったことによって
彼により強力な勉強意欲とエネルギーを与えることになったことを
叡智を持つ教授たちは予想すらできなかったに違いない
0054それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:43:10.82ID:idQXOWs+0
(´・ω・`; )「うーん、でもその独学の期間中どうやって生活するんだい?」
(´-ω-` ; )「かなりの時間がかかるとおもうんだけど」

彡(゚)(゚)「そんなことは遺族年金と孤児年金が切れてから考えるで」

(;´・ω・` )……
社会を批判するのに社会制度は利用する
この矛盾をアドルフはどう考えているんだろう…
質問しても怒られるだけだから聞かないけど…
0055それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:43:51.30ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「お前はええな 若い婦人に課外レッスンして金稼げるんやから」

(´・ω・`)「あれはボクの実力じゃないよ」
(´・ω・`)「教授に紹介されただけ 運がよかっただけさ」

(´•ω•)「それに、前から不思議だったんだけど…」
(´・ω・`)「アドルフは副業をしないの?」

(`・ω・´)「君ほどの才能があればいくらでもお金を稼げるだろうに」
彡(゚)(゚)「ほう…というと?」

(´・ω・`)「たとえば、アドルフはスケッチができるじゃん」
(`・ω・´)「新聞社や出版社でイラストレーターの仕事を探すのはどうだい」

彡(-)(-)「うーん…」
彡(゚)(゚)「ワイに対する期待は嬉しいけどなクビチェク」

彡(゚)(゚)「報道関係ならスケッチより写真の方がええやろ」
彡(-)(-)「いくら優秀なイラストレーターでもカメラほど早くは書けん」
0056それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:44:23.67ID:idQXOWs+0
(`・ω・´)「じゃ、演劇の批評は?」
(´・ω・`)「君はもうその仕事をしてるようなもんじゃん」

(´ᴖωᴖ`)「君の批評を聞くウィーン市民はたくさんいると思うよ!」
(;´・ω・` )「もちろん、過激な発言なんかには気を使う必要はあるけどね」

彡(-)(-)「うーん…ウィーン市民にはドイツ系のオペラだけやダメやな…」
彡(゚)(゚)「イタリアやロシアの知識も必要やろ」

彡(-)(-)「芸術は、特定の民族から生まれても……」
彡(゚)(゚)「民族的な境界には束縛されんのやから」

(´・ω・`)……
アドルフの言うことはもっともだけど
とりあえずやってみればいいのに……
0057それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:44:58.72ID:idQXOWs+0
グーギュルギュル

(。゚ω゚)「すごいお腹の音だね!」
彡(-)(-)「気にすんな いつものことや」グーギュルギュル

(´・ω・`)「アドルフはいつも腹ペコだね…」
( ´-ω-` )「ボクは学食でちゃんとしたもの食べてるけど…」

(;´・ω・` )「君は毎日パンとミルクとバターしか食べてないんじゃない?」

彡(゚)(゚)「飯なんてそれだけで十分や」

(´・ω・` )「ねえ、一緒に学食に行こうよ」
(´・ω・`)「だれもアドルフのことを気にしないよ」

彡;(゚)(゚)「いやや!あんな奴らとメシなんて食うきにならん!」
彡()()「絶対にいやや!!」グーギュルギュル

(´-ω-` ; )「もう、本当に頑固なんだから…」
0058それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:47:18.69ID:idQXOWs+0
( ;´-ω-` )つ「ア、アドルフ……なんとかチケット…確保したよ……」
彡;(゚)(゚)「でかしたクビチェク!」

彡;(゚)(゚)「あとはワイがいい席を取ってきたるさかいにな」
( ;´-ω-` )「よ、よろしく………」

彡;(゚)(゚)/「ほな、行ってくる!!」
アドルフは人混みの中になりふり構わず突き進んでいった

( ;´-ω-` ) .。oO(はぁ……劇を見るだけでも一苦労だ……)
ボクたちが買えるのは立ち見席が限界なんだけど

(´・ω・`) .。oO(それでもチケットを手に入れるための競争は激しい)
チケットを手に入れるためには、二時間前から劇場前に集まる必要がある
そして売り出しが始まるや否や、徒競走のように皆が一斉に走り出す

途中、急な曲がり角があるので転ばないように気をつけるのだけど
まるでトラップかのように床はツルツルに磨かれていた
そのために、転んで跳ね飛ばされる人も多く出る
0059それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:47:41.71ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` ) .。oO(その激戦を勝ち抜いても、すぐ第二の戦いがはじまる)
場所取りだ
立ち見席での最上の場所はキプフェル……
なんて説明したらいいかな?
三日月形のパンのような形をした空間があるんだけど
そこが特等席だった

(´・ω・`) .。oO(アドルフは無事にその席を確保できたかな?)
ボクもそろそろ中に入ろう
0060それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:48:09.17ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)/「おーいクビチェク」
(´ᴖωᴖ`)「やったね!上手く場所取りできたんだ!」

彡(゚)(゚)「当たり前や、ワイを誰やと思っとるんや…ん?」
彡(゚)(゚)「ちっ、今日はあいつらもおるんかい」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)   ┃       彡(゚)(゚) (・ω・`)

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『あーかったりー』

(´・ω・`) .。oO(あの人たちは軍人だ)
立ち見席は青銅の仕切り棒で
片方が民間人用、もう片方が軍人用に二等分されている
民間人に提供されているスペースは学生や労働者で満員状態なのに
軍人用部分はスカスカに空いている
さらに噂によると軍人たちは特権を使い
破格の安さでチケットを手に入れているようだ
本当に不公平な話だ…
0061それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:48:35.22ID:idQXOWs+0
ブー
(´・ω・`) .。oO(上演が始まった……タンホイザーだ)

♪♪♪

ブー
(´・ω・`) .。oO(休憩だ……それにしてもやっぱり……)

(´ᴖωᴖ`)「ワーグナーの劇は最高だね」
彡(-)(-)「偉大なる巨匠が生み出した神話世界の前では……」

彡(゚)(゚)「すべてがかすむわ……」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『ハーこんなもんか』
ε三(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『ロビーでなんか食おうぜ』

彡(゚)(゚)「……あいつら」
彡(•)(•)「芸術を楽しむのでなく、社交界気分で来よってからに」

(;´・ω・` )「まあ、まあ……仕方ないよ」
彡(•)(•)「クソが、芸術的な理解力とチケットの価格が反比例しとるやんけ!」
0062それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:49:15.25ID:idQXOWs+0
ブー
(;´・ω・` ) .。oO(後半が始まった……)

♪♪♫

(´・ω・`) .。oO(もうそろそろ終盤の盛り上がりどころだ)

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『終わったら次どこ行く?』

彡(•)(•)「ぐ……」
(;´・ω・` )「アドルフ抑えて……ここで暴れたら劇が台無しだよ」

彡;(-)(-)……
(;´・ω・` )「ふぅ……」

・・・

(´-ω-`) .。oO(無事に終わった……)
でも、大事なのはここから……
見終わった後の余韻と共に聴くオーケストラの演奏は至福のひと時なんだ

(〃` 3´〃)「ブラボー!!!」

( ;´-ω-` ) .。oO(最悪……まだ演奏は続いているのに……)
マナー違反だし、無粋にもほどがある……

(;´・ω・` ) .。oO(すべてが台無しだ)
0063それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:49:44.32ID:idQXOWs+0
彡(●)(●)「もう我慢できん!!!」
彡(●)(●)「黙れやゴラァ!!!」=◯)`3゜)∵

(。゚ω゚)「アドルフ!暴力はダメだよ!!」
彡(●)(●)「そんな綺麗ごとに付き合ってられるか!!」

彡(●)(●)「こういうアホは痛い目に合わんと学ばんのや!!」
彡(●)(●)「これは教育や!!」=◯)`3゜)∵

(。゚ω゚)「だからダメだって!!」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『おいおい兄ちゃん……その辺で止めとけ』

彡(●)(●)「あん?」
彡(●)(●)「ワイが悪いって言うんか!?」

彡(●)(●)「どの口でそんな戯言をほざくんや!!」

彡(●)(●)「お前らみたいな芸術を介する脳を持たん筋肉バカが」
彡(●)(●)「偉そうにワイを非難するなや!」
0064それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:50:25.02ID:idQXOWs+0
彡(●)(●)「そもそも……」
彡(●)(●)「なんでお前らみたいなのがステファニーの側におるんや!」

(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『ステファニーって誰だよ……』

彡(●)(●)「彼女を誘惑しといて、彼女のことを知らんやと……」
彡(●)(●)「ふざけんなや!!!」=◯)`3゜)∵

(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『えぇ…』

その後、警察の人が来て事情聴取された
だが、アドルフの猛烈な自己弁護が功を奏し
放免されることになった
0065それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:51:03.67ID:idQXOWs+0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフは大通りを歩いていた
するとそこではデモ行進が行われていた

(# ゚Д゚) # ゚Д゚)# ゚Д゚)「民族統一!」「社会改革!」「貧民救済!」
若者たちがプラカードや垂れ幕を持って練り歩いている

(´・ω・`)「アドルフは政治に関心があるけど…」
(´・ω・`)「ああいったものには参加しないね」

彡(-)(-)「あんなん、ただ扇動されとるだけの……」
彡(゚)(゚)「自分の意志すらなく動かされとる哀れな奴らや」

彡(゚)(゚)「あいつらと一緒におっても堕落するだけ……」
彡(゚)(゚)/「ワイはワイの道を行くわ!!」

(;´・ω・` )「ちょ、アドルフ 声が大きいよ…」

彡(゚)(゚)「まあでも、どうせ何も変えられないと諦めとる大人よりはマシやな」
彡(●)(●)「あきらめた者に生きる権利なんてないわ!」

(。゚ω゚)「だから声が大きいって…」

彡(゚)(゚)「そろそろ帰るか 浮浪者が多くなってきよった」
( ˘ω˘ ; )「そうだね ま、周りの目も怖いしね…」
0066それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:52:15.53ID:idQXOWs+0
彡(^)(^)「おっ、図書館やんけ 寄ったろ!」
(;´・ω・` )「えぇ…ねえ早く帰ろうよ 危ないよ」

彡(゚)(゚)「なにが危ないねん!はよ行くぞ!」
Σ( °ω° )「あっ待ってよ」

(´・ω・`)「あれ?君はあっちの図書館を使ってるんじゃなかったっけ?」
彡(゚)(゚)「色んな本を借りられるように三つの図書館の会員になっとるで」

(´・ω・`)「君はありとあらゆる本すべてを読もうとしているのかい?」
彡(●)(●)「アホなこと言うなや!!」

彡(●)(●)「そんなもん無理に決まっとるやろう!!」
(;´・ω・` )「ちょっとした冗談だよ……そんなに怒らないでよ……」

(´・ω・`) .。oO(真面目に質問したつもりだったんだけどな……)
だって、本のないアドルフを想像できないもん
彼は部屋に本を積み上げて
常になにかを読んでいる
出かける際も、最低一冊は本を持ち歩いている

アルコール中毒者が酒を手放せないように
アドルフは本を手放せなくなっているかのよう
まるで読書中毒者だ
0067それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:52:48.74ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「ふんっ、はよ行くぞ!」

図書館

パラパラ
(´・ω・`)「さっきから何を読んでるの?」

彡(•)(•)「ル・ボンの『群衆心理』や」
彡(⦿)(⦿)「これは凄いで」

( ;´-ω-` )「また建築と関係ない本を読んで…」
(;´・ω・` )「どっちかと言うとそれは政治系の本じゃないの?」

彡(゚)(゚)「これからは群衆が中心の世界になるからな 勉強しとかんと」
(;´・ω・` )「で、でも直接、建築には関係しないよね…」

彡(-)(-)「ハァ〜お前は本当に…なんというか小市民的やなぁ」
彡(゚)(゚)「金や職に関わらん本でも進んで読むべきやぞ」

(;´・ω・` )「えーやだよ、面倒くさい」
彡(-)(-)「ハァ〜」
0068それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:53:40.35ID:idQXOWs+0
彡(⦿)(⦿)「おお!この本は本当に参考になるで…」
彡(゚)(゚)ノ「クビツェク!お前も愚かな群衆にならんようにこの本を読むんや!」

彡(゚)(゚)「これはこの世の真実やぞ!」

(;´・ω・` )「わかったよ…どれどれ」
彡(●)(●)「なにしとんねん! なんで目次をとばすんや」

(;´・ω・` )「え…どうせ全部読むし…」
彡(-)(-)「全く、お前は本の読み方も知らんのやな…」

彡(゚)(゚)「ええか、読書ってのは本を選ぶ時から始まっとるんや」
彡(゚)(゚)「ワイは馬鹿みたいに本を読む奴を知っとる 奴らは一字一句読む…」

彡(-)(-)「でもな、ワイはそいつらを『博識』とは呼ばん」
彡(゚)(゚)「確かにそいつらは膨大な知識を得る」

彡(゚)(゚)「でもそいつらは脳に取り入れた知識を分類整理する方法を知らん」
彡(●)(●)「一番大事なのは目次なんや!」

彡(゚)(゚)「最初に核心部分から読むのが秘訣や!」
彡(-)(-)「そしてそこだけを覚えて頭の図書館にしまい込むんや」
0069それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 09:54:53.09ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)……
確かにアドルフの本のチョイスはその辺の読書家よりも優れていた
でも彼の読書は、自分の考えの欠けたピースを埋めるため
いわば知識の補完だ
つまりは自己確認の意味合いが強かったように思う

彡(゚)(゚)「ちなみにこの『群衆心理』は全部が核心や!」

(;´・ω・` )「えぇ…」
( ;´-ω-` )「だったら怒らなくてもよかったのに」

彡(゚)(゚)「細かいことは気にすんなや」
彡(゚)(゚)/「つうことで今から本屋に行くで!この本は買わなアカン!」

(;´・ω・` )「ええ〜今から〜」

彡(^)(^)「いやぁ〜こんな本に出会ったんは……」
彡(^)(^)「『ドイツ英雄伝説』以来かもしれんな!」

彡(゚)(゚)「はよ行くで」

┗(゚)(゚)ミ┓三三3    (‘・ω・`; )
アドルフを追いかけようとした時、トントンと肩を叩かれた
0070それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:55:18.82ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「はい?」

<#`Д´>「図書館ではお静かに!!!」

(。゚ω゚)「ひぃ ごめんなさい」

彡(゚)(゚)「あん?」
彡(●)(●)「なんや!お前の方がうっさいやんけ!」

:(´ºωº`):「アドルフ!なに言ってんの…」
(;´・ω・` )「ほら 本屋に行くんでしょ」

彡(゚)(゚)「いや待てや、どう考えても声量はあいつの方が…」
(´ᴖωᴖ`;)「もう、いいから!ごめんなさい〜」

(´ᴖωᴖ`;)っ彡(゚)(゚) 三三3         <`Д´#>
0071それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:55:55.95ID:idQXOWs+0
彡(^)(^)「♪」テクテク
(´ᴖωᴖ`;)「本があってよかったね」

彡(>)(<)「うん♬」

アドルフは子供みたいによろこんでる
喧嘩にならなくてよかった……
それにしても……

(´・ω・`)「アドルフは確かに凄い記憶力を持ってるけど…」
(´・ω・`)「本当に本だけで勉強を完成させるつもりなの?」

(;´・ω・` )「人からも学んだほうが…」
0072それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:56:22.09ID:idQXOWs+0
彡(-)(-)「ハア〜なにを言うかと思えば…」
彡(゚)(゚)「確かにお前には教師が必要みたいやな」

彡(•)(•)「でもワイは違う!」
彡(●)(●)「ワイに教師は必要ない」

彡(゚)(゚)「ちなみに他人頼りのお前みたいなのを…」
彡(゚)(゚)「他人の机で学ぶ居候っていうんやで」

(´・ω・`)「う〜ん この名言はいまいちだな」
(´・ω・`) .。oO(う〜んボクにはよくわかんないや)

彡(•)(•)「なんやと?」
(。゚ω゚)「しまった、本音と建前が逆だった」

彡(゚)(゚)「なにをいうとんのや?」
(´ᴖωᴖ`;)「なんでもないよ!ほら早く帰ろ!」

(;`・ω・´)「その本 読むんでしょ!?」
彡(^)(^)「せやった はよ帰るで〜♪」

帰宅後

彡(-)(-)「つまり、群衆に理論は通じんで感情が聞くんや」
彡(^)(^)「それみろや、この本の著者もワイと同じ考えや」

(´-ω-` ; ) .。oO(アドルフはよく、読書の後こう言った)
君の読む本は、君があのやり方で選ぶんだから
そうなるのも当然じゃん……
0073それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:56:51.20ID:idQXOWs+0
ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

(´・ω・`)「あれ?ピアノを弾いているの?」
彡(゚)(゚)「せや、自作のオペラを作ろうと思ってな」

(;´・ω・` ) .。oO(この時間は……)
ボクがピアノの練習をするって約束してたのに

( ;´-ω-` ) .。oO(でも……)
変わってくれそうな雰囲気ではないな……

彡(゚)(゚)「それでや、ワイが今から歌ってみるさかい」
彡(゚)(゚)「ちょっと聴いてみてくれや」

(;´・ω・` )「うん……分かったよ」
彡(゚)(゚)「ほな、いくで」

彡(゚)(゚)♩♩♩♩♩
0074それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:57:28.04ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` ) .。oO(うーん……)
単調で拍子も調整もない……音符を置いているだけ
音程も外れている
正直……最低限の音楽理論も知らない素人が思い付きで描いた駄作だ

彡(゚)(゚)「……どや?」
(;´・ω・` )「……テーマはいいけど」

(;´・ω・` )「オペラと呼ぶにはほど遠い出来だよ……」
彡(゚)(゚)……

(´・ω・`)「よかったら、基礎的なオペラ理論を教えようか?」

彡(•)(•)「バカにすんな!!」
彡(•)(•)「今さら一から音楽理論なんて学んでられるか!!」

(;´・ω・` )「でも……そんなんじゃ一生、完成しないよ」
(;´・ω・` )「それに、読書をする君なら分かるだろ?」

(´・ω・` )「知識や理論がどれだけ大事なものかを」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

彡(-)(-)「……分かった」
彡(゚)(゚)「アドバイス、頼むわ」

(´・ω・` )「うん、任せて」
0075それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:57:55.01ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)「そこはね、そうじゃなくて……」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

(´・ω・`)「違うよ、それだと小節ごとに拍子が変わっちゃうよ」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

(´・ω・`)「ここは、こういう風に正しい形式にしないと」
彡(•)(•)「……どっちが作曲者や?」

(´・ω・`)「え?」
彡(●)(●)「ワイとクビチェク、どっちがこのオペラの作曲者なんや!?」

(;´・ω・` )「それは君だけど……何をそんなに怒ってるんだい?」
彡(-)(-)「このままやと、ワイの構想とまったく別のもんができあがる」

(´・ω・`) .。oO(あぁ…そういうことか……)
きっとアドルフの頭の中には完成した曲が出来上がっている
でも、ボクを仲介することによって彼の創作は歪められていく
ボクが培ってきた音楽知識が彼の邪魔になっているんだ

スケッチなら
鉛筆を介して思う存分にアイディアを具現化することができるアドルフでも
音楽ではそうはいかない
ボクはアドルフの楽器にはなれないのだから

彡(゚)(゚)「なにか別の方法を考えんとな……」
0076それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 09:59:19.35ID:idQXOWs+0
ある日の劇場帰り
夜の公園をボクとアドルフは歩いていた

(´・ω・`)「あ!アドルフ見て!」
(´^ω^`)「噴水がライトアップされていてとても綺麗だね」

彡(゚)(゚)「ホンマやな……」

噴水は夜の闇に照らされて夢のように浮かび上がっていた
水しぶきは絶え間なく吹き上がり
燃えるような赤色、明るい黄色、澄み渡る青色に輝いていた
まるでこの世のモノとは思えない神秘的な世界を表現していた

彡(゚)(゚)「これは使えるで……」
0077それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:00:14.86ID:idQXOWs+0
あくる日

ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

(。゚ω゚)「うわっ!なんだいこれ?」
ピアノの上に電灯が置かれていた

彡(゚)(゚)「ちょっとした実験で、音と色を融合させようと思ってな」
(´・ω・`)「どういうこと?」

彡(゚)(゚)「オペラについて考えとる内に思いついたんや……」
彡(゚)(゚)「言葉は音楽を表現するには複雑すぎるってな」

(´・ω・`)「なにを言っているんだい?」
(´・ω・`)「音に合わせて歌うなんて当たり前のことじゃないか」

彡(゚)(゚)「まあ、ええから見とけ」
アドルフはピアノを弾くと同時に、手に持っていたボタンを押した
すると、ピアノの上に乗っていた照明器具が点灯した
そして、音を鳴らしてはボタンを操作し、照明を点けては消したりした
0078それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:00:59.36ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「どうや?」
(;´・ω・` )「どうって言われても……点滅してるねとしか……」

彡(゚)(゚)「今は一つの色しかないが、それぞれの音に色を割り当てたら」
彡(゚)(゚)「オペラになると思わんか?」

(´・ω・`)「あのさ……楽器や歌の練習が嫌だからって」
(´・ω・`)「そんな小手先の技術に逃げるのはよくないよ」

彡(●)(●)「誰が逃げとるや!!」
彡(●)(●)「ワイは新しいオペラの発見をやな!!」

(´・ω・`)「だって、音と色の融合なんて、どの音楽家もやってないよ」
(´・ω・`)「アドルフの案がいいものなら……とっくに誰かがやっているよ」

彡;(゚)(゚)「そんなはずはない……これは新発見や!」
( ;´-ω-` )「そんなに言うなら、しばらくやってみなよ……」
0079それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:01:26.05ID:idQXOWs+0
後日
彡;(゚)(゚)「あー電線が細かくて手もとが……ん?」

ビリビリ
彡()()「電気を触ると……体は……痺れるん…やな……」

(´・ω・`)「もう……死なないでよ」
新聞でも読もう……ふむふむ

『ロシア人作曲家!音と色を合わせた色彩的音楽を発表!!』

(;´・ω・` ) .。oO(……アレ?)
コレってアドルフの案と同じだよね……

( ˘ω˘ ; ) .。oO(あちゃー)
アドルフの発想は間違ってなかったんだ
自分の知識を過信して、うぬぼれちゃってたな……

(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう、アドルフに…正直に伝える?)

彡()()「ビクン……ビクン……」

( ˘ω˘ ; ) .。oO(怒られたら嫌だし……黙っておこう)
0080それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:02:36.98ID:idQXOWs+0
ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

彡(゚)(゚)「なあクビチェク、教えて欲しいことがあるんやが」
(´・ω・`)「なんだい」

彡(゚)(゚)「古代ゲルマン人の音楽についてなんやが」
(´・ω・`)「うーん……ボクもあまり知らないや」

彡(゚)(゚)「どんな楽器を使ってたかも分からんか?」
(´・ω・`)「それなら分かるよ」

(´・ω・`)「代表的なのは太鼓と笛かな」
(´・ω・`)「後はルールーっていうトロンボーンみたいな楽器もあるよ」

彡(゚)(゚)「それだけやと厳しいな……」
(´・ω・`)「次はいったい、なにを思いついたんだい?」

彡(゚)(゚)「太古のゲルマン音楽に従ったオペラを作曲しようと思ってな」
彡(゚)(゚)「そしたら、もっと単純で簡単な分かりやすいオペラになるやろ」

(´・ω・`)「また、そうやって君は楽を……
0081それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:03:23.35ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(待てよ……)
前はアドルフの案をボクはありえないと否定したけ
でも、それは間違いだった
ボクはこの案が現代の人間に受け入れられるとは到底思えないけど
もしかしたらボクの見込み違いかもしれない

(´・ω・`) .。oO(もう少し、アドルフに付き合ってみよう)

彡(゚)(゚)「他にもなんかあるやろ?」
(´・ω・`)「うーん…分からないな」

彡(-)(-)……!
彡(゚)(゚)「せや!思い出した」

彡(゚)(゚)「スカルドって吟遊詩人がおったやろ」
(´・ω・`)「古代の詩人だね……それがどうしたの?」

彡(゚)(゚)「スカルドの歌は何によって伴奏されとった?」
(´・ω・`)「あ!たしか…ハープのような楽器を使ってた」

(´・ω・`)「さすがアドルフ、鋭いね」
彡(゚)(゚)「お前の勉強不足やろ」

( ˘ω˘ ; ) .。oO(ぐっ、何も言い返せない)
0082それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:03:58.39ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「ここまで分かったら、逆算して……」
彡(゚)(゚)「古代の音楽を推測できんか?」

(;´・ω・` )「うーん……ボクには難しいや」
(´・ω・`)「ちょっと待ってて、教科書見てみるよ」

パラパラ
(´・ω・`)「あ!少しだけど書いてあるよ。読むね」

ゲルマン人の音楽は、純粋なメロディー中心の水平的な地中海諸民族とは反対に
和音中心の垂直的な音楽だったみたいだ
もしかしたら、古代のゲルマン人は長調と短調を分かっていたのかもしれない

(´・ω・`)「だって」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!それだけの情報があれば、後はなんとかできるわ」

彡(゚)(゚)「やるでクビチェク!!」
(´・ω・`)「うん」
0083それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:05:08.37ID:idQXOWs+0
数時間後
彡;(゚)(゚)「うーん……なんか微妙や……」
(;´・ω・` )「聴きごたえのある曲にするには音階が絶対に必要だよ」

(;´・ω・` )「嫌かもしれないけど、近代の楽器で代用するしかないよ」
彡;(゚)(゚)「背に腹は代えられんか……その案は採用や!!」

その後も何日も、ボクとアドルフはあーでもない、こーでもないと
知恵と熱意と時間を浪費し続けた

(´-ω-`)Zzz……
彡(•)(•)つ「なに寝とんねん、起きろや!」

(っω-`)「ん……もう……今日はこの辺で……」
彡(●)(●)「なに言っとんのや!今いいとこやろうが!!!」

ドン!!
「うっせえぞ!何時だと思ってんだ!」

彡(●)(●)「あん?」
(。゚ω゚)「落ち着いてアドルフ…ちゃんと付き合うから」

(;´・ω・` )「でも、声は小さくね」
0084それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:05:37.60ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(なにやってんだろ……)
こんな一円にもならないことをやって……
大学の勉強をしていた方がよっぽど有意義なのに
……
でも、アドルフとこうやって何かを創作するのは

(´^ω^`) .。oO(とても楽しいや)

それからもボクとアドルフのオペラ創作は続いた
でも、ボクは音大の勉強、アドルフにも緊急を要する問題で忙しくなり
いつしか、話題にすら上がらなくなってしまった

こうしてボクとアドルフの共同制作オペラ
『鍛冶屋ヴィーラント』は未完成のまま終わった
0085それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:06:32.42ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
(´・ω・`)「どうしたんだよ急に?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
『オーストリア全国音楽協会が音楽活動普及のため小学校にピアノを寄贈』
と書かれていた

(´・ω・`)??
(´・ω・`)「これの何が悪いの?」

(;´・ω・` )「いいニュースじゃない…」

彡(゚)(゚)「あのな、やっとることはよくてもな」
彡(•)(•)「やり方がアホなんや!」

彡(-)(-)「こんなちまちま回りくどいやり方しよって」
0086それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:06:56.24ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「普及活動はそういうものだよ…」
(;`・ω・´)「それにそんなに言うなら 君ならどうするつもりなの?」

彡(゚)(゚)「そんなん決まっとる!」
彡(^)(^)「移動帝国歌劇団や!!」

(;´・ω・` ).。oO(はぁ?)
アドルフの悪い癖だ
彼は自分が作った造語をさも当然のように使ってくる

(;´・ω・` )「えっと、その移動大帝キャラバンは」
彡(•)(•)「移動帝国歌劇団や!」

(;´・ω・` )「ごめん、ごめん その移動帝国歌劇団ってなに?」
彡(゚)(゚)「ハァ…ほんまにクビチェクは何も知らんな…」

( ;´-ω-` )「分かるわけないじゃん……」
彡(゚)(゚)「ええわ 教えたる」
0087それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:07:28.12ID:idQXOWs+0
アドルフの説明によると移動帝国歌劇団は
国の辺境隅々までオーケストラを派遣して
ベートーヴェンの『運命』や『第九』いった名曲を
多くの人々に届ける事業のようだ

(`・ω・´)「へぇー アドルフにしてはいい案じゃない」
彡(^)(^)「やろ!」

彡(゚)(゚)「ん?ワイにしてはってどういう…」
(´ᴖωᴖ`;)「いやいや、最高の案だよ さすがだよアドルフ!」

彡(^)(^)「せやろ!」
彡(^)(^)「楽器の持ち運びにはな……」   
 
アドルフは鼻息荒く詳細な構想を語りだした
0088それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:08:03.29ID:yhHOG7O20
すげえわ
誰も見てないのにくっさい人形劇続けられるメンタルがすごい
0089それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:08:17.71ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)……
ほんとに誰に頼まれたわけでもないのによくここまで考えるよ
でも、ここまで事細かに練ってあるってことは…
前から考えてたってことだよね

(;´・ω・` )「ねえ、アドルフ」
彡(`)(´)「なんや、今いいとこやのに!」

(´・ω・` )「君は建築家になるんだろ?音楽にかまけてていいの?」
(´・ω・`)「音楽はボクの分野なのに」

彡(゚)(゚)「だからやろ」
(´・ω・`)「え?」

彡(^)(^)「お前がそばにおるから考えるんや」
(´・ω・`)「ボ、ボクのために…」
0090それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:09:11.58ID:idQXOWs+0
(;`・ω・´)「じゃあ!もしかしてそのオーケストラの指揮をするのは…」
彡(゚)(゚)「そんなん決まっとる」

(´・ω・`)「アドルフ…」
彡(゚)(゚)「クビチェク お前でないことは確かや!」

(;´・ω・` ) .。oO(え?)
っとガッカリしたとたんアドルフは彡(^)(^)と笑みをみせた

ピキツ
(ꐦ`•ω•´)「アドルフ!ボクをからかったな!!」

(ꐦ`•ω•´)「ひどいじゃないか!!!」
彡;(゚)(゚)「そ、そんなに怒こんなや…」

(ꐦ`•ω•´)「いいや怒るね!君はボクの夢を笑ったんだ!!」
彡;(゚)(゚)「わ、わかった ちゃんと指揮者になれたら呼んだるさかい」

(`-ω-´)「いいや遠慮しとくね!」
(ꐦ`•ω•´)「誰がそんなオーケストラに参加するもんか!」

彡(•)(•)「そんなとはなんや!」
彡(●)(●)「そん時になって泣いて頼んでも遅いんやで!!」

(ꐦ`•ω•´)「絶対にお断りだね!!」
0091それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:09:46.73ID:idQXOWs+0
ちなみに
彡(>)(<)ノ「ワイが作詞作曲したこれも一緒に届けるんや!」

(´・ω・`) .。oO(ふむ、どれどれ)
走れー♪ 光速のー♩ 帝国歌劇団♫
唸れー♪ 衝撃のー♩ 帝国歌劇団♫

彡(゚)(゚)「どや?ええやろ」
(;`・ω・´)「アドルフ これはダメだ」

彡;(゚)(゚)「な、なんでや!いい出来やろ!」
(;`・ω・´)「あまりにも前衛的すぎる 色々問題がでるよ」

彡;(゚)(゚)「いや、でも…」
(ꐦ`•ω•´)「分かったね!!!」

彡(-)(-)「……はい」
0092それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:10:40.17ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
( ;´-ω-` )「はぁ…次はなんだい?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
アドルフから新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
ライト兄弟の記事だ
確か、ライト兄弟は空飛ぶ機械
飛行機を作って飛ばした最初の人だったかな?

記事の一面には
『ライト兄弟!飛行機による射撃実験を開始!!』
と書かれていた
0093それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:11:06.86ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「確かに物騒な記事だね…」
彡(•)(•)「新しい発明をすぐに戦争の道具にしよってからに!」

彡(●)(●)「ふざけんなや!」

彡(゚)(゚)「戦争を命じるのはいつも王や支配者や」
彡(-)(-)「自分らは安全な場所から莫大な富を得るくせに…」

彡(•)(•)「何もしらない平民は犠牲になるだけや!」
彡(●)(●)「ほんま世の中狂っとるわ!!」

(;´・ω・` ) .。oO(前は戦争を望んでいたのに……今は戦争を憎んでいる)
どちらもきっと彼にとって本心なんだろうけど…
ボクとしては戦争を憎むアドルフでこの先もあって欲しいな
0094それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:13:02.66ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
( ;´-ω-` )「……次の関心事はなんだい?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
アドルフから新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
『失業率増加、経済成長率過去最低、自殺者増』と書かれていた

( ;´-ω-` )「不景気で嫌な世の中だね……」

彡(•)(•)「政治家も資本家も役人も誰もかも………」
彡(●)(●)「自分のことしか考えとらん!!」

彡(•)(•)「故郷を失い、職を失い、希望を失っとる……貧民のことを…」
彡(●)(●)「誰もが他人事やと思っとる!!」

彡(●)(●)「そんなんじゃアカン!!」
0095それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:13:35.77ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)………
アドルフは全身全霊を込めて運命に見放された人々
貧困者たちについて
どうしたらよいかとひたすらに考え、憤っていた

(´・ω・`) .。oO(たしかに…)
ボクたちも貧しい生活をしているから
貧困者たちの苦しみも理解できる
でも、同情だけでそこまでの力は出ない

( ;´-ω-` ) .。oO(きっと自分の運命を切り開こうとしてるんだ……)
時代はアドルフを含め、多くの人を貧困へと追い込んでいた
そのような強大な力に個人で太刀打ちできるはずがない
0096それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:14:02.03ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` ) .。oO(だから、彼は考えるだ……)
一人で敵わないなら、数を集めればいい
そしたら僅かでも打開策が見えてくる
少しでも希望があれば、人は精神のバランスを保つことができる
そして、暗い展望と意気消沈した日々から抜け出し
明日に向かって生きていけるんだ……と思う

でも……矛盾していることに
アドルフは大衆とは常に距離を取り
彼らの中に入っていくことを拒んでいた
だからきっと、恐ろしいまでの燃えるようなアドルフの想いが
困窮している人々に燃え移っていくことはないだろう

( ;´-ω-` ) .。oO(それが幸か不幸か、ボクには分からない……)
0097それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:14:39.89ID:idQXOWs+0
劇場
彡(^)(^)「やっぱりワーグナーは最高や!」

(`-ω-´)「リンツの劇場でも何回も見たけど…」
(´^ω^`)「やっぱり都会のものは格が違うね!」

彡(-)(-)「ワイはいつかドイツ民族の巡礼の地・バイロイトに訪れるで…」
彡(゚)(゚)「ヴァーンフリート館を見て、ワーグナーの墓参りをするんや…」

彡(゚)(゚)/「そしてワーグナー自身が作った劇場でワーグナーの作品を見る!」
彡(>)(<)「くぅ〜夢が広がるで!」

(´・ω・`) .。oO(まーた始まった……)
バイロイトで行われるワーグナーの劇は
成功者の中でもさらに一握りの選ばれた人しか見る事ができない
立ち見席が常連のボクたちには夢のまた夢の話だ
とは言いつつ……口にはだせないけど
ボクもアドルフと同様に夢見る住人の一人だったりする
0098それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:15:10.40ID:idQXOWs+0
|⌔•..)チラ……チラ…

(´・ω・`) .。oO(なんだ、視線を感じる)
向こうの女性がこっちを見てる……?

|⌔•..)チラ……チラ…

(。゚ω゚) .。oO(え!もしかして……ボクのことを……)
(,,>ω<,,)ドキドキ

|⌔•..)チラ……チラ…           彡(゚)(゚)

( ´-ω-` ) .。oO(違う…)
この視線はアドルフに向けられたものだ……

彡(゚)(゚)←コレは質素な服装で素っ気ない控え目な態度……
ボクと大して変わらないのに……
一体どこに差があるんだろう?
0099それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:15:37.75ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(確かに、アドルフには謎の魅力がある)
あの婦人なんて振り返ってまでアドルフを見つめている
劇場で振り返るのはマナー違反だって誰でも知っているのに…

彡(`)(´)「なんや 今日は客層が悪いな!行くでクビツェク」
(´・ω・`)「う、うん」

(´・ω・`)……
アドルフはなにも朴念仁でなければ天然ジゴロでもない
ちゃんと彼女たちの熱意をキャッチしているし
思わせぶりな態度なんて絶対に取らない

J(„❛⌄❛„)を好きなようにノンケ、同性愛者でもない
なのにアドルフは何もしなかった

彡(゚)(゚)「全く、なっとらん、なっとらんなぁ」
0100それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:16:34.29ID:idQXOWs+0

(´・ω・`)「アドルフってモテるよね?」
彡(゚)(゚)「ん……なんのことや? それより来週の公演は〜」

(´・ω・`)……
アドルフは強い女運を持っている
なのに、その幸運を利用しようとしない

恋人でもいれば……
自分で『犬のような生活』と呼んでいる惨めな生活も
少しは美しく彩られることになるだろうに

魅力だけじゃない、彼には……
読書で知り得た膨大な知識
スケッチや演説といった技
そして何にでも真剣に取り組む情熱
アドルフには普通の人にはないたくさんの才能があった
でも彼は頑なにチャンスを掴もうとしない

行動力がないわけでもない…
有りすぎるくらいだ
それなのに何も起きない
本当に不思議だ……
0101それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:17:47.86ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「そろそろ後半が始まるで 戻ろうや」
(´・ω・`)「うん」

|⌔•..)つ「あの……これ……」
彡(゚)(゚)「はぁ…どうも」

女性はアドルフの袖を引っ張り、カードを一枚手渡し
|彡サッとすぐ、駆けて行った

(`・ω・´) .。oO(おお!秘密を解き明かす絶好の機会!!)
それにそうだ…
視線だけを送られたからって奥手の
彡(゚)(゚)←コレが反応するはがずない!
でも、これだけ明確に愛を伝えられたんだ
きっとアドルフにもロマンスが始まるに違いない!
0102それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:18:11.86ID:idQXOWs+0
彡(-)(-)「ハアー」
(。゚ω゚) .。oO(え、ため息?)

彡(゚)(゚)「またや」
(。゚ω゚)「え…!」

彡(゚)(゚)ノ「見てみいや、これ……」
(;´・ω・` )「う、うん……恋文みたいだね」

彡(゚)(゚)「お前やったらこの意味ありげな誘いに応じるか?」
(;`・ω・´)「これはボクの問題じゃなくて、君の問題じゃないか」

(;´・ω・` )「…でもボクなら、あの娘を失望させたくないかな」
彡(゚)(゚)「そか」

ヴー
Σ彡(゚)(゚)「お、そろそろ始まるで」スタスタ

(。゚ω゚) .。oO(え!それだけ!!)
0103それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:18:33.96ID:idQXOWs+0
( ´-ω-` )でも、仕方ない…
アドルフが変なのは今に始まったことじゃない
でもいったい、女性たちはアドルフのどこに惹かれているんだろう?

たしかに彡(゚)(゚) ←コレは均整のとれた顔立ちでスラリとしている
でも一般的に「美男子」と呼ばれる容姿ではない

彡(゚)(゚)「あの主役、なかなかええ男やんけ」

(;´・ω・` ) .。oO(え!やっぱり同性愛者だったの!?)
ど、どうしようボクはいたって普通なのに……
君の想いに応えることはできないよ……

彡(゚)(゚)「なにを考えてるかよう分からんが…」
彡(●)(●)「断じて違う!!」

彡(゚)(゚)「とだけは言っとくで」
(´・ω・`)「あ、そう」

( ;´-ω-` ) .。oO(よかった……)
(;`・ω・´)じゃない!

アドルフの魅力についてだ
あの舞台の上で踊ってる美男子とアドルフの違いはなんだろう…?
考えられる線といえば……並外れた大きな目……?彡(⦿)(⦿)
妙に厳しく、禁欲的な表情……?彡(゚)(゚)

(´•ω•).。oO(う〜ん……)
考えてても分かんないや
それとなく聞いてみようっと
0104それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:19:09.41ID:idQXOWs+0
帰り道
(´・ω・`)「そういえば……」
(´・ω・`)「アドルフはステファニー以外に好きになった人っているの?」

彡(゚)(゚)「おらん ステファニー以外の女なんて眼中にもないで」

(´・ω・`) .。oO(あーなるほど)
一人の女性を愛し続けるジェントルマンだったんだアドルフは
これで謎が……

彡(-)(-)「ステファニーこそドイツ女性の理想像なんや…」
彡(゚)(゚)「ステファニー以外の女にうつつを抜かすなんてことは……」

彡(●)(●)「ドイツ民族に対する冒涜や!!!」

(;´・ω・` ) .。oO(ん?)
一人の女性を愛すとかそんな話じゃないぞ
もっと信念……いや…コレは……信仰だ……
0105それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:19:34.76ID:idQXOWs+0
ステファニーはアドルフの心の中で神格化、偶像化、聖人化されて
彼の道徳観の拠り所になっている
だからアドルフは他の女性に目もくれない
でも女性たちは女性たちで自分たちに素っ気ない態度をとるアドルフに……
女のプライドからつい試したくなってしまう

(;´・ω・` ) .。oO(これが答え…?)

彡(-)(-)「彼女がウィーンにいたなんて信じられんな」
彡(゚)(゚)「この都市は売春が蔓延るドイツ女性の敵や」

彡(•)(•)「全てはこの国の多民族性が悪いんや!」
彡(●)(●)「チェコ人、マジャール人、クロアチア人、イタリア人が〜!」

( ;´-ω-` ) .。oO(ま〜た始まった)
この話しになったらもうどうしようもないや
0106それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:20:38.79ID:idQXOWs+0
交差点
彡(゚)(゚)「この都市の性は乱れきっとる! 例えばバ……」
(´・ω・`)「バ?」

彡(゚)(゚) (´・ω・`)??         (◦灬•)ピタっ
なんだ?急に前の男性が立ち止まったぞ

彡(-)(-)「…いや、お前は知らんでええ」
(´・ω・` )「え、そうなの…」

彡(゚)(゚) (´・ω・`)??         (◦灬⦿)ジー
紳士っぽい人がじっとボクたちを見ている

(◦灬•)「君たち、最近の暮らしぶりは如何かね?」
(´・ω・`) .。oO(おっ近くでみると、やっぱり身なりが上流階級のそれだ)

彡(゚)(゚)「いいとは言えませんな なにせ貧乏学生なもので」
(´・ω・`)「彼は建築を学び、ボクは音楽を学んでいます」

(◦灬•)「なるほど、ならば未来のオーストリアを担う若者という訳だ」
(◦灬¯)「……この近くにホテルがあるんだ」

(◦灬⦿)「どうだろう夕食を食べていかない……か?」

(´ᴖωᴖ`)「えっ、本当ですか!?」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「アドルフ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
彡(-)(-)……

(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……せやな」
0107それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:21:06.48ID:idQXOWs+0
ホテル前
(。゚ω゚)「うわぁ……大きいところですね 屋上があんなに高い」
彡(゚)(゚)「ほう、中々ええ建築やな」

(◦灬⦿)「……」

(´・ω・`; ) .。oO(なんだろうお尻を見られてる気がする……)

(◦灬¯)「おっと失礼 さあ、さっそく中にイこうか」
0108それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:21:33.10ID:idQXOWs+0
ホテル内
(◦灬^)「さぁ、好きなものを注文するといい」

(*>ω<*)「じゃあボクは…」
彡(゚)(゚)「……」

(´ᴖωᴖ`)「ふふ、ボクこんなところに来たことないよ!」
(´・ω・`)「アドルフは何を食べる?」

彡(゚)(゚)「…………」
(´・ω・`)「さっきからどうしたの?」

彡(-)(-)「……まあ、気をつけてればええか」
彡(゚)(゚)「クビチェクも楽しんでるみたいやし」

(;´・ω・` )「お腹、痛いの?」
彡(^)(^)「なんでもないで…じゃあワイは」
0109それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:21:58.16ID:idQXOWs+0
食後

(´ᴖωᴖ`)「ああ〜美味しかった 本当に今日はありがとうございます」

(´・ω・`)「って、あの紳士の方は?」
彡(゚)(゚)「いつの間にかいなくなったな」

(◦灬^)「おまたせ デザートはケーキしかなかったんだけどいいかな」

(´^ω^`)「デザートまで!」
彡(>)(<)「おっ、甘い物はワイの好物や」バクバクバク

(;´・ω・` )「あっ!一人で全部、食べないでよ……」
( ;´-ω-` )「あー空っぽだ……もう……」

(◦灬^)「ははは、君はこっちのアイスティーでも飲みなさい」
( ;´-ω-` )「ありがとうございます」
0110それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:22:54.23ID:idQXOWs+0
(´^ω^`)「ああ〜もうお腹いっぱいだ」
(`・ω・´)「すっかりご馳走になりました」

(◦灬¯)「いやいや、若者を応援することが大人の務めというものさ」
(◦灬⦿)「先程交差点で君たちの話を聞いたらイても立ってもいられずにね」

(◦灬•)「しかし、アドルフ君は最近の若者にしては鋭い考えを持っている…」

(´ᴖωᴖ`)「そうなんです!」
(´ᴖωᴖ`)「それにアドルフはすっごく女の人にモテるんですよ!!」

( ˘ω˘ ; )「でも、全然……女性に興味を示さないんです…」

彡(゚)(゚)「おいおい、よせって」
(◦灬⦿)「ほう…実に興味深いね」
0111それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:23:34.60ID:idQXOWs+0
(´-ω-`)「さっきだって女の人からお誘いのカードを貰ったのに」
(´・ω・`)「チラっと見ただけで それでお終いなんです」

彡;(゚)(゚)「クビチェク 本当にもうやめて」

(◦灬^)「ははは、君は私の若い頃にそっくりだね」
(◦灬•)「私はフェクラブルックの工場主をしていてね」

(◦灬¯)「最近は金目当ての婦人ばかりに寄られて 困っているんだ」

彡(-)(-)「最近のウィーンは欲にまみれてますからな」
彡(゚)(゚)「かつての英雄がいた時代が輝かしいばかりです」

(◦灬¯)「本当にね… 筋骨隆々の男達が戦場で合間見えていた時代は……」
(◦灬¯)「もう遠い昔だ……」

(◦灬^)「君の方は音楽を学んでいるんだってね」
(◦灬•)「私は最近、室内音楽に凝っているんだが」

(´ᴖωᴖ`)「本当ですか! 室内での音響は〜」

喋ること数分

(´-ω-`)「うーん、少し眠くなってきたかな……?Zzz」

彡(^)(^)「はは、彼は毎朝早いのでこの時間はもうベッドの上なんです」
彡(-)(-)「ではそろそろ、この辺で……」

(◦灬•)「ああ、今日は実に楽しかったよ」
(◦灬⦿)「ところで君……」
0112それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:24:19.23ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「クビツェク、起きろや」
(っω-`)「うーん」

(´・ω・`)「あれ、ボクいつの間にか寝ちゃってた?」
彡(゚)(゚)「全く、お前を背負って来るのは大変やったで」

彡(゚)(゚)「ところでクビツェク、お前あの紳士を気に入ったか?」
(´^ω^`)「申し分ないよ! 芸術を好み、とても教養ある人だ」

彡(゚)(゚)「他には?」
(´・ω・`)「他に何があるんだい?」

彡(-)(-)「クビツェク、どうやらお前は肝心なことを何もわかっとらんな」
(´・ω・`)?

彡(゚)(゚)ノ「このカードを見てみいや」
(´・ω・`)「何のカード? 名刺?」

(◦灬•)『また、今日と同じホテルにおいで』

(´・ω・`)「これがどうしたの??」

彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「つまり、あいつはホモや」

(。゚ω゚)「ええ……!?」
(´•ω•)「何それ……?」

彡;(-)(-)「ノンケは知っといてホモは知らんのかい……」
彡;(゚)(゚)「ホモってのはな……」

・・・男と男でボーイミーツボーイになりチューすることである
0113それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:25:21.29ID:idQXOWs+0
:(´ºωº`):「ひええ……」
(;´・ω・` )「アドルフ、まさかまた行くの……?」

彡(●)(●)「行くわけないやろ、このドアホ!」
彡(゚)(゚)ノ「こんな名刺はストーブにポイーや」

アドルフが恋愛に消極的な理由
彼は大都市のさまざまな性的倒錯に強い嫌悪感をもって立ち向かっていた

( ;´-ω-` )「うう…なんかショックだよ」
彡(゚)(゚)「まだまだクビツェクは田舎もんやな」

堕落した都市ウィーンの真ん中で
アドルフは自身の周囲に堅固な防壁を築いていた
0114それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:25:45.33ID:idQXOWs+0
彡(-)(-)「…まあええ、これに関して悪いのはウィーンや」
彡(゚)(゚)「でもここきてだいぶ経つんやぞ」

彡(•)(•)「ええ加減に都会の怖さを知らんと痛い目あうから気いつけや」

だから周囲から独立して内面的自由の中に
自分の身を置くことができたのだ

彡;(゚)(゚)グーギュルギュル

(´ᴖωᴖ`)「はは、アドルフまた空腹でお腹が鳴ってるよ」
(´ᴖωᴖ`;)「……あれ? さっきご馳走食べたばかりなのになんで? 」

彡;(^)(^)「さ、さあ?なんでやろうな……」

彼は孤独であり続け、修道士のような禁欲生活の中で
自分の存在を守っていた

(。゚ω゚) .。oO(というか……)
アドルフがいなかったらボクどうなってたんだろ……

:(´ºωº`):アワワワワ
0115それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:26:22.23ID:idQXOWs+0
一九〇八年四月

(´・ω・`)「あ!ボクに手紙が来てる」
(´・ω・`)「何かな」

(´・ω・`)ふむふむ……

( ;´-ω-` )
彡(゚)(゚)「どしたクビツェク」

( ;´-ω-` )つ「これ…よんでみて」
彡(゚)(゚)「どれどれ」

彡(゚)(゚)……
彡(●)(●)「はあああん!徴兵やと!ふざけんなや!!」

彡;(゚)(゚)「クビツェク、絶対に行ったら駄目や!」
彡;(゚)(゚)「もし行ったらおまえは……」

彡;(●)(●)「クソが!こんな令状、破り捨てたる!」
0116それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:26:44.69ID:idQXOWs+0
(;`・ω・´)「あっ、駄目だよ!」
バッと素早くアドルフから手紙を取り戻した

(;´・ω・` )「全く、ヒヤヒヤさせないでよ」
彡;(゚)(゚)「くそ、一体どうすれば……」

(;´・ω・` )「まだ適合になるとは決まってないよ 去年肺病になったし」

彡;(-)(-)「せやな、とにかく、リンツに戻って兵役検査は受けた方がええ」
彡;(゚)(゚)「でも、もし適合した場合はこっそり越境してドイツに行くんや」

彡;(•)(•)「絶対にハプスブルク家の兵隊になったらアカン!」
(;´・ω・` )「そんなことできるのかな…」

彡(-)(-)「もう少ししたらワイも二十や」
彡(゚)(゚)「その時がきたらワイはそうするで」

(;´・ω・` )「とにかく、音楽院の先生に相談してみるよ」
0117それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:27:14.50ID:idQXOWs+0
音楽院

(◎෴◎)「君は音楽院生だから、1年志願兵になる資格がある」
(◎෴◎)「でも職人の息子である君は後備兵に志願したほうがいい」

(;´・ω・` )「兵役を逃れる為にドイツに行くという方法はどうでしょうか」

Σ(◎෴◎)「!?誰がそんなバカげたことを……」
(;◎෴◎)「悪いことは言わないからやめておきなさい……」

(◎෴◎)「とにかく、ご両親に手紙を出すんだ」
(;´・ω・` )「はい」
0118それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:27:33.19ID:idQXOWs+0
数日後
父から手紙が届いた

『徴兵のことは分かった。
だが、お前はなんてことを言い出すんだ!
国境越えなんてしてみろ、脱走とみなされ罰せられるぞ。
そしたらお前は二度と故郷に帰ることができなくなる。
もう私達と会うこともできなくなるのだぞ。
悪いことは言わない、校長先生の言う通りにしなさい。
母さんもそれを望んでいる。
父と母より( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗) 愛する息子へ』
0119それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:28:05.99ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )「ということなんだよ」
(;`・ω・´)「だからボクは後備兵に志願する」

(;´・ω・` )「今期の授業と学期末コンクールが終わったら一旦リンツに帰るよ」

彡;(゚)(゚)「……たとえ数ヵ月といえどもハプスブルクの兵隊に……」
彡;(-)(-)……

彡(゚)(゚)「まっ、ワイと違ってお前は家族があるからしゃあないな」
(´・ω・` )「やっぱり自分の時はやるつもりなんだね……」

彡(゚)(゚)「それはそのときに考えるわ」

彡(゚)(゚)「それより、期末のコンサートが近いんやろ?」
彡(゚)(゚)「指揮者への進路が決まる大事なイベントや言うてたやないか」

彡(゚)(゚)「まずはそれに集中や!」
彡(^)(^)「兵役なんて忘れてまえ」

(´・ω・`)「うん そうするよ」
0120それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:28:40.37ID:idQXOWs+0
期末コンサート本番

(`-ω-´)/♪〜♪〜♪〜

よし、カールもソリストも練習どうりにやれてる
簡単な演奏じゃないけど…このままミスなくいってくれ…!

パチパチパチパチ

(;´・ω・` ) .。oO(ふぅ、なんとか無事に終わった)

(`・ω・´;) .。oO(でも本当の難関は次…!)
ボクの作曲したオーケストラ曲がプロの宮廷歌手に歌われるんだ…!
これにボクの音楽家人生がかかっている…!
でもボクならやれる!!
これまで努力してきたんだ!

(;`・ω・´)やってやる!!!
0121それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:29:07.76ID:idQXOWs+0
( ´-ω-` )/♬〜♪〜♪〜
(`・ω・´)/♬〜♩〜♪〜
(`-ω-´)/♫〜♪〜♪〜

(`-ω-´)/……
お、終わった…

パチパチ
Σ(´・ω・`)!

パチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!!

(´^ω^`) .。oO(やった、拍手喝采。大成功だ!)
0122それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:29:44.67ID:idQXOWs+0
楽屋

ガチャ
彡(^)(^)「おークビt」

(◎灬◎)「凄い反響だったぞ 指導したものとして鼻が高いぞ」
(´ᴖωᴖ`)「教授! ありがとうございます」

(◎෴◎)「いやー期待以上だ 主席卒業も夢じゃないよ」
(´ᴖωᴖ`;)「またまたそんな…」

(*´0`)´0`)。´0`)『おーいクビチェク!』
(´ᴖωᴖ`)「あ、みんな!」

           ワイワイガヤガヤ    ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚)      (*´0`)´0`)。´0`) (´ᴖωᴖ`) (◎灬◎) (◎෴◎)
0123それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:30:12.66ID:idQXOWs+0
(。´0`。)「とてもすごかったよ」
(´ᴖωᴖ`)「ありがとう」

(*´0`*)「私、感動して泣いちゃった…」
(。゚ω゚)「え、本当に!」

(´0`)「どうだいこの後、みんなで飲みにいかないかい?」
(´・ω・`; )「え、この後…」

           ワイワイガヤガヤ    ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚)      (*´0`)´0`)。´0`) (´・ω・`; ) (◎灬◎) (◎෴◎)
0124それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:30:34.49ID:idQXOWs+0
(;´ᴖωᴖ`)「ご、ごめん…この後は用があるんだ また今度」
(*´0`)´0`)。´0`)『えー主役が不在じゃ盛り上がらないじゃん』

(`・ω・´;)「ごめん、本当にごめんね」

彡(゚)(゚)  (・ω・`)三3      (´0`(´0`(´0`*) (◎灬◎) (◎෴◎)

(;´・ω・` )「待たせてごめん アドルフ」
(´・ω・` )「ここじゃ騒がしいから外に行こうよ」

彡(゚)(゚)……

(´・ω・` )「アドルフ?」
彡(-)(-)「せやな」
0125それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:30:57.25ID:idQXOWs+0
ほこりっぽい椅子張り職人見習いだったボクが…
都会のことを何も知らない田舎者だったボクが…
そしてなにより臆病なボクがここまでこれたのは
誰がなんと言おうとアドルフのおかげだ
感謝してもしたりないよ

彡(^)(^)「おめでとさん クビチェク」
(´^ω^`)「ありがとう!アドルフ!」
0126それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:33:19.50ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)「来週には、ボクはリンツに戻って兵役検査を受けるよ」

彡(゚)(゚)「久々の故郷や 休日と思って両親と過ごしてこいや」
(◦灬¯)「そうだよ 里帰りして親孝行しないと」

(´・ω・`) .。oO(なんでこの人がいるんだろう?)

(◦灬^)「ところで、君の指揮は迫真の出来だったらしいじゃないか」
(◦灬⦿)「どこかのオーケストラから推薦もウケたんじゃないのかね?」

彡(゚)(゚)「…そうなんか?」

(;´・ω・` )「えっと…まぁ紹介はされたけど」
(´・ω・` )「…………うん」

彡(゚)(゚)ノバシン!!
(。゚ω゚) .。oO(痛っ!)
強く背中を叩かれた

彡(゚)(゚)「何をためらっとるんや!」

彡(^)(^)「よかったなクビツェク、夢が叶ったんや!」
彡(^)(^)「やったやんけ!」

(◦灬¯)「で、これからどうするんだい?」

(´・ω・` )「どうするって… とりあえず故郷に帰って… 兵役をうけて…」
(`・ω・´)「いずれにせよ、ボクとアドルフはずっと一緒です」

(◦灬^)「ハッハッハ、君たちは本当に仲がいいんだね」

彡(゚)(゚)……
0127それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:35:11.11ID:idQXOWs+0
コンサートも終わり、授業もなく、兵役検査の日までヒマだった
なのでボクは旅行を計画した

(´・ω・`)「ねえアドルフ、旅行に行こうよ」
彡(゚)(゚)「そんな金はない……」

(´・ω・`)「お金はボクが出すから大丈夫」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「こんな狭くて、かびてて、油臭い部屋に引き籠ってないでさ」
(´・ω・`)「柔らかい春の日差しが降り注ぐ、草原や森、山々に行こうよ」

彡(゚)(゚)「……そこまで言うならしゃーない、行ってやるわ」
(´ᴖωᴖ`)「うん、ありがとう」

(´・ω・`) .。oO(なんでお金を出すボクがお礼を言ってるんだろう?)
まあ、付いてきてくれるなら、それでいいや
第一関門は突破!
さっそくお弁当やその他諸々の準備に入ろう
0128それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:36:43.51ID:idQXOWs+0
翌日
(´・ω・`)「うん!雲一つない快晴の旅行日和……」
(`・ω・´)「さあ!出発だ!」

彡()()Zzz…Zzz…

( ;´-ω-` ) .。oO(そして……第二関門)
旅行の計画は伝えていたのに
なにがあっても早起きだけはしたくないって豪語してたから

(;´・ω・` ) .。oO(やっぱり起きてこない……)
『寝ている子を起こすな!』じゃないけど
寝ているアドルフを起こすのはとても危険だ
彼を無理やり起こすと、とても不機嫌になる
でも、起こさないと旅行に行けない……
0129それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:37:19.66ID:idQXOWs+0
(;´・ω・` )つ「ねえ、アドルフ…起きてよ」ユサユサ
彡(•)(•)「なんや?」

彡(●)(●)「なんでこんな朝早くに起こすんや!!」
(;´・ω・` )「ほら、外を見てよ……もう陽は高いよ」

彡(-)(-)「そんなもん知らん。ワイは寝る」
(ꐦ^ω^)「……」

(`・ω・´)「くらえ!太陽の光!!」ピカー
彡;(-)(-)「ぐぬぬぬ……」

彡(-)(-)Zzz…

(ꐦ^ω^).。oO(この甲斐性なしの無職のゴミが!)
もういい、こうなったら最後の手段だ

ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「力強くだ!!」
0130それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:38:01.25ID:idQXOWs+0
電車の中
彡(゚)(゚)「……」

(;´・ω・` ) .。oO(不機嫌そうに黙ってる……)
こんなんで旅行になるのかな……

ジーフェリング駅
(´^ω^`)「自然がいっぱいで気持ちいいね!」
彡(゚)(゚)「……」

( ;´-ω-` ) .。oO(どうしよう……まだ不機嫌みたいだ)

彡(゚)(゚)「いい景色や……」
彡(゚)(゚)「来てよかったわ」

(。゚ω゚)!
(´^ω^`)「うん!よかった!!」
0131それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:38:22.54ID:idQXOWs+0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからボクたちは大自然の中を歩き回った

木々は花開き、ブドウ畑は新緑に覆われ、若葉が茂っていた
アドルフもウィーンの喧騒から解放され

彡(^)(^)(´^ω^`)
本当に喜んでいるようだ

彡(゚)(゚)「こうしとると……」
彡(-)(-)「リンツの頃を思い出すな……」

(´・ω・`)「なんだい、ホームシックになったのかい?」
彡(゚)(゚)「……そうかもしれんな」

こうして旅行初日は終わった
0132それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:38:50.16ID:idQXOWs+0
二日目
彡(゚)(゚)「はえーこれがメルク修道院か……」
(´・ω・`)「すごいね……まるで、岩山から生えているみたい」

三時間後
彡(゚)(゚)「はえー」
( ;´-ω-` )「ねえ、そろそろ中に入ろうよ……」

彡(゚)(゚)「どうやったら、こんな断崖に修道院を建てれるんやろ」スタスタ

(。゚ω゚)「アドルフ、ダメだよ!」
(。゚ω゚)「危険だから立ち入り禁止って書いてあるじゃないか!!」

ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「勝手にウロチョロしないの!!」

メルク修道院の中
彡(>)(<)「お!図書館があるやんけ!」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」

( ;´-ω-` )「旅行にきてまで読書ってどうなの……」
0133それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:39:28.75ID:idQXOWs+0
三日目
彡(^)(^)「ひゃっほう!!」
(;´・ω・` )「アドルフ、はしゃぎすぎだよ…他のお客さんに迷惑だよ」

ボクたちは汽船に乗って、ドナウ川を下っていた
しばらくするとヴァッハウ渓谷にさしかかった
左側にヴァイテンエック城、右側にシェーンビュール城
さらに奥には険しい岩山の上にそびえるアックシュタイン城が見えた

彡;(゚)(゚)「スケッチが間に合わん!」
(´ᴖωᴖ`)「ははは、ホラホラ急いで!」
0134それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:40:01.39ID:idQXOWs+0
渓谷を抜けるとシュピッツとヴァイセンキルヒェンの町が見え
急斜面に植えられたブドウ畑の牧歌的な景色が広がっていた

(´・ω・`)「すごいロマンチック……」
(´・ω・`)「アドルフ……この風景を絵にしてよ」

・・・

(´・ω・`) .。oO(あれ??)
反応がないと思ったら
どこにもいない……

(・ω・`;≡;´・ω・)「また…勝手にウロチョロして……」

(。゚ω゚)「あ!あんな所に!!」

アドルフは船首に立ち、景色に見とれていた

(;´・ω・` )「なにやってるの!危ないからはやくこっちに」
彡(゚)(゚)「I’m the king of the world!」

(´・ω・`)「なにそれ?」
彡(゚)(゚)「なんか知らんが……叫びたくなった……」
0135それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:40:23.40ID:idQXOWs+0
それから船は東へと進路を変え工業地帯に入った
倉庫、製油所、資材置き場に粗末な小屋、放浪の民の集落もあった

(´・ω・`)「汚ったない所だな……」

(´・ω・`)「ボクたちの知るライン川とは思えないね」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`) .。oO(どうしたんだろう?)
アドルフは黙ったまま物想いにふけっていた
0136それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:41:01.91ID:idQXOWs+0
四日目
ボクたちは列車に乗って、山岳地帯に来た

(´・ω・`)「青い空、緑に輝く草原、雪をかぶった山々……」
(´・ω・`)「いい景色だね」

彡(゚)(゚)「さらに登ったら、もっとよく見えるんとちゃうか?」
(´・ω・`)「まあ、たしかに…そうだろうけど」

(´・ω・` )「登山の準備なんてしてきてないよ……」
彡(゚)(゚)「道はあるんやし、歩いていけばいいだけやろ」

彡(゚)(゚)「よし、いくで」
(。゚ω゚)「ちょっと、待ってよ!」
0137それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:41:27.78ID:idQXOWs+0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3

ボクとアドルフはろくな準備もなく出発した
そしてしばらく行くと、頂上と思われる平地に到着した

彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「……」

(´・ω・`) .。oO(あまりの壮大な景色に言葉が出ない)
天国から見る地上ってこんな感じなんだろうな
人間がどれほど小さな存在かを、まざまざと見せつけられた気分だ

感激のあまり時間を忘れていた
すると太陽が黒雲に隠れ、霧が立ち昇り、雷雨が降り注いだ

急いで山道を下った
全身ずぶ濡れ、靴の中まで水浸し、冷たい風も吹いてきて
ボクはあまりの寒さに震えた
でも、どういう訳かアドルフは上機嫌だった

┗(^)(^)川┓┗:(´ºωº`):┓三3

(。゚ω゚)「あそこに小屋がある!」
(;`・ω・´)「ひとまず避難だ!」
0138それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:41:57.70ID:idQXOWs+0
小屋の中
(;´・ω・` )「止みそうにない、一晩ここに泊まるしかなさそうだ」
川(゚)(゚)「干し草と亜麻布があったで」

(;´・ω・` )「二人で寝るにはそれで十分だね……」
(* >ω<)、;'.・くちゅん

川(゚)(゚)「濡れたままやと風邪ひくで」
:(´ºωº`):「そ、そうだね」

ボクたちは服を脱ぎ、亜麻布にくるまり、干し草をベットにした

(´・ω・`) .。oO(一時はどうなるかと思ったけど……)
二人だけ、暗闇の中、雨音だけが聞こえる小屋の中は……
とても神秘的な世界だった
でも……
0139それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:42:20.64ID:idQXOWs+0
(´・ω・`)「お腹が空いたね」グーギュルギュル
彡(゚)(゚)「せやな」グーギュルギュル

彡(-)(-)「……でも」
彡(゚)(゚)「苦しみも二人で分け合えば半分になるわ」

(´・ω・`)「これまでもそうだったよね……」

体も温まってきて、想いで話に花が咲いた

彡(゚)(゚)「クビチェク……」
(´・ω・`)「なんだい?」

彡(-)(-)「いや、なんでもないわ……」
(´・ω・`)「なんだよ……気になるじゃないか」

彡(-)(-)「なんや……その……」
彡(゚)(゚)「ありがとな……」

(´・ω・`)「旅行のお礼かい?」
(´・ω・`)「そんなのいいよ……ボクも楽しかったし」

(´・ω・`)「また来ようね」
彡(゚)(゚)「せやな……」

こうしてボクたちの旅行は幕を閉じた
0140それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:42:52.64ID:idQXOWs+0
一九〇八年七月


(´・ω・`)「じゃあ、暫くの間お別れだね」
(´・ω・`)ゞ「ステファニーのこと、ちゃんと調べておくよ」

彡(゚)(゚)「いや、ステファニーのことは調べんでもええ」

(;´・ω・` )「え、なんで……?」
彡(^)(^)「兵役で大変なのにそんなことさせれんわ」

(;´・ω・` )……
この時、ボクはどことなく違和感を覚えた
しかし、それが何を意味しているかを気付くことはできなかった

彡(゚)(゚)「お前は優しすぎるからな」
彡(゚)(゚)「軍隊でいじめられんよう気をつけるんやで」

彡(-)(-)「特に、ユダヤ人にはな」

『都会には卑怯者しかいない 英雄が生まれるのは田舎だ
そして、田舎にユダヤ人はいない』

後にアドルフが残すことになる言葉だ
0141それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:43:19.97ID:idQXOWs+0
彡(゚)(゚)「じゃあなクビツェク」

     ガシッ!
(´・ω・`)つ⊂(゚)(゚)ミ

アドルフは両手でボクの手をしっかり握りしめた

(´・ω・`) .。oO(あれ?)
アドルフは両手で握る握手を滅多にしない
なにか特別に感動を覚えたときぐらいにしかしないはずなのに
……たかだか数ヵ月の間いなくなるだけなのに大げさだよ

(´・ω・`)「うん、またね」

\( )ミ三三3
それからアドルフは回れ右して、一度も振り向かずに
少し早足で出口に向かった

(´・ω・`) .。oO(もう、少しは振り向いてくれてもいいのに……)
ま、アドルフらしいといえばらしいか

こうして、ボクはリンツへ帰郷した
0142それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:44:03.73ID:idQXOWs+0
リンツ

(´・ω・`) ( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗)
両親は、ボクを快く迎えてくれた

久々の故郷はちっとも変わっていなかった
ドナウ川も、それに跨がる橋も、田舎の風景も
アドルフと歩いて回ったあの頃のままだ

(´・ω・`)「父さん、仕事を手伝うよ」
( ¯灬¯ )「すまないな」

(`・ω・´)「父さんは凄いよ たった一代でここまでの事業を築くなんて」
v( ¯灬¯ )「都会に染まらずにいい男に育ったな アドルフ君には感謝だ」

(´・ω・`) .。oO(アドルフはああ言ったけど)
どうせ後になって騒ぐんだからステファニーのことを調べておこう

(;´・ω・` ) .。oO(いないな…J(„❛⌄❛„))
一家全員ということは避暑にでも出掛けたのかな?
0143それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:44:33.44ID:idQXOWs+0
それからもアドルフとは何回か手紙のやり取りをした
兵役検査でボクは結膜炎にかかっているとわかったので
これから眼鏡(⁻◎ω◎⁻)をかけることになるかもしれないと書いた

アドルフから返信が届いた

『親切な手紙をありがとう。
君が失明するかもしれないと聞いて、僕は悲しみでいっぱいだ。
君は今よりもますます楽譜を読み間違えることになるのだからね(笑)。
君が盲目になったら、僕もだんだんと消えてなくなっていくのだろうか。
おぉ、なんて悲しいことだ!
それはともかく親愛なるご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』

(´・ω・`)「もう、手紙でもボクのことをからかって……」
(´・ω・`)「あれ?この手紙の受付印の日付……四月二十日になってる」

(´・ω・`) .。oO(しまった!)
この日はアドルフの誕生日だ
すっかり忘れてた

(´ᴖωᴖ`;) .。oO(まあ、いいよね)
アドルフも誕生日のことにはなにも触れてないし
もしかしたら本人も忘れてるんじゃないのかな
それに、ウィーンに戻ってからお祝いすればいいんだ
とりあえず、帰る日が決まったよとだけ返信しておこう
0144それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:45:15.98ID:idQXOWs+0
十一月二十日
ウィーン駅

(´・ω・`) ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ… ┃柱┃

あの柱の下が、待ち合わせの場所なんだ
人混みは相変わらずだけど もう慣れたよ

テクテク┏(´・ω・`)┛

(´^ω^`)「あ、いた!」
(´・ω・`)「お待たせ アドルフ!」

(# ゚Д゚)「は?誰だよお前!」

(。゚ω゚)!!
( ;´-ω-` )「ご、ごめんなさい 人違いです…」

(# ゚Д゚)「ったく………気安く声をかけんな!」

アドルフによく似た青年
と言っても服装と背丈だけだけど、は悪態をついて去っていった

(;´・ω・` ) .。oO(はぁ、ビックリした)
あれ…でも、アドルフはいない?
さてはまた遅くまで起きてて寝坊したんだな…

( ;´-ω-` )「全く 手紙には今日のこの時間だって書いたのに…」
仕方ない、柱にもたれながら待つか
0145それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:45:38.18ID:idQXOWs+0
五分後
 ┃柱┃
(´・ω・`) 

二十分後
 ┃柱┃
(´・ω・`) .。oO(……待合室にいるのかな?)

テクテク┏(´・ω・`)┛

(・ω・`;≡;´・ω・)
(´・ω・`)……

(´・ω・`) .。oO(戻ろう……)

┗(`・ω・´)┓テクテク

一時間後
 ┃柱┃
(;´・ω・` ) .。oO(おかしい…)
っていうかアドルフが時間を破るなんてありえない

(。゚ω゚)「まさか……病気!?」
そうだ、そうに違いない!
そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた!
いそいで借家に行こう!

ε三三┏(;´・ω・` )┛
0146それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:46:09.19ID:idQXOWs+0
借家
ガチャガチャ

(;´・ω・` )「あれ?鍵が閉まってる」
(;´・ω・` )っ「おーいアドルフ ボクだよ 開けてよ」ドンドン

(・∞・)「なんだい騒がしいね!」
Σ(・∞・)「あれ?クビチェク君じゃない」

(´ᴖωᴖ`;)「お久しぶりです すみませんちょっと鍵がかかってて…」

大家のツァクライス婦人は不思議そうな顔をしてる

(・∞・)「鍵がかかってるって当たり前じゃない…」
(・∞・)「だってその部屋は空き部屋ですもの」

(;´・ω・` )「え?何を言ってるんですか…」
(;`・ω・´)「ここはボクとアドルフの部屋ですよ!」

(;・∞・)「……もしかして何も知らないのかい?」
(;´・ω・` )「え?」
0147それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:46:36.15ID:idQXOWs+0
(;・∞・)(´・ω・`; )
ツァクライス婦人から次の三つのことを告げられた
アドルフは家賃を払うと姿を消したこと
別れの挨拶も何もなかったこと
手紙やメモも何も残さなかったこと

( ;´-ω-` ) .。oO(アドルフ…)
一体何があったんだ……
……

(`・ω・´) .。oO(そうだ!)
そもそもあの部屋はボクがピアノを弾くために借りたんだ
きっとアドルフは一人であの広い部屋を持て余したんだ
だから引っ越したんだ!
アドルフはせっかちで抜けている所があるから
いろいろ無作法なことをして……
……

(´・ω・`) .。oO(……アドルフがそんなことをする?)

急いで部屋を借り
知りうる限りの知人、考えられる限りの関係者のもとに走った
そしてボクの住所を教えた
アドルフを見かけたら知らせて欲しい、伝えて欲しいと言伝をして

しかし、一週間たっても、二週間たっても
なんの音沙汰もなかった……
0148それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:47:16.98ID:idQXOWs+0
(´-ω-`) .。oO(そして一年がたった)
アドルフを貧民街で見たと目撃証言はあったけど、いなかった
もしかしたら兵役を逃れるためにドイツに行ったのかもしれないけど
確かめようがない……

(´・ω・`)……
0149それでも動く名無し
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2023/07/15(土) 10:47:41.49ID:idQXOWs+0
(´・ω・`) .。oO(確かにアドルフは……)
口は悪いし、急に怒るし、仕事はしないし、外面だけはいいし、束縛するし
どこでもうろうろするし、突然演説を始めるし、色々と連れ回されるし
自分勝手だし、犯罪の片棒を担がせようとするし、誰にでも喧嘩は売るし
民族主義者だし、妄想癖がすごいし、唯我独尊だし、嫉妬深いし
気狂いだし、夢想家だし、すぐ反論してくるし、甲斐性なしだし
訳の分かんないことばかり言うし、頑固だし、我がままだし
読みたくもない本を読まされるし、自分だけモテてムカつくし
そのくせガードは堅いし、何も言わずどこかに行ってしまう

( ;´-ω-` ) .。oO(自分で言っててなんだけど……)
本当にひどい同居人だ……
こんな同居人なら、いない方がいいのかもしれない……

(;´・ω・` ) .。oO(でも、それじゃ駄目なんだ……)
アドルフがいなければボクの人生は平凡で退屈そのもの……
どんなにステキで優雅な芸術に触れても
一人だけじゃ感想を語り合うこともできない…

(´・ω・`) .。oO(楽しさも半減だ……)
0150それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:48:09.35ID:idQXOWs+0
わが友ヒトラー ウィーン編 完
0151それでも動く名無し
垢版 |
2023/07/15(土) 10:50:11.33ID:RGc5juAd0
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