トヨタと三菱重、JAXAと進める月面探査車開発で連携
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トヨタ自動車と三菱重工業は21日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と進める月面探査車の開発について両社で連携していることを明らかにした。
トヨタの月面探査車開発のプロジェクト長を務める山下健氏は同日の3社による記者会見で、昨年に三菱重と月面探査車について「コンポーネント単位ではなく、開発そのものを一緒にやるということで協力関係の締結をした」と述べた。

米航空宇宙局(NASA)が主導し、日本も参加する月面探査「アルテミス計画」では、2025年以降に有人による月面着陸を目指している。その後は、ゲートウェイ(月周回有人拠点)と呼ばれる月面と火星探査の中継基地などを通じて、月に拠点を建設することが構想されている。
月面探査に向け民間企業も協力している。三菱重が開発する無人の月面探査車はJAXAがインド宇宙研究機関と進める月の南極で水の量や質を調べる探査計画「LUPEX」向けのものだ。JAXAによると24年度以降に打ち上げが予定されている。

一方、トヨタは19年、JAXAと国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討していくことで合意。その一環として燃料電池車(FCV)技術を使った有人月面探査車「有人与圧ローバ(愛称ルナクルーザー)」の研究を行っている。

当初は通常の燃料電池技術を用いるとしていたが、現在はルナクルーザーに水電解技術を組み合わせた「再生型燃料電池(RFC)」を搭載することが検討されている。実現すれば、昼の間に太陽電池で発電した電力を使い水電解装置で水素を製造し、夜間にはその水素を使って燃料電池を稼働することが可能になる。
山下氏によると、月面にあるとされる水を使い、地産地消のような形でエネルギーを賄うことが目標だ。同氏は、RFCは離島や被災地などでの活用も考えられるとした上で、ルナクルーザーの打ち上げが予定される「29年を待たずに、いろんなところで要素技術は社会還元していきたい」と述べた。