職場で熱中症になる人がたくさんいるのに、会社は何もしてくれないーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。
相談者は、エアコンのない倉庫で働いている。会社が熱中症対策としておこなっているのは塩飴を配ることのみだという。着るだけで涼しくなるといわれる「ファン付き作業着」の使用を上司に頼んだところ「風紀が乱れる」との理由で却下されたという。

自腹でもよいから、せめてファン付き作業着を認めてほしいと相談者は考えている。会社の対応に問題はないのか。村松由紀子弁護士に聞いた。

●塩飴を配るのみでは不十分

ーー会社には、熱中症対策をおこなう義務はあるのでしょうか。

労働契約法5条は、使用者に対し、従業員が安全かつ健康に労働できるよう配慮しなければならないとする安全配慮義務を定めています。熱中症は生死に関わることもありますので、会社が従業員の熱中症対策をおこなうことは、当然この義務に含まれます。

職場の対策に不備があり、従業員が熱中症を発症して損害が発生した場合、使用者は安全配慮義務違反にもとづいて損害賠償責任を負うこともあるでしょう。

ーー相談者の会社のようにファン付き作業着の着用を認めず、塩飴を配るのみの対応は、安全配慮義務違反にあたると判断される可能性はありますか。

厚生労働省の通達「職場における熱中症の予防について」では、服装について次のように記載されています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/51e69a3bd4e33f5b42dcf4ecd6b37b55d1be8225