北京から政府専用機でソウルに移動した直後だった。「地元の下関は韓国に一番近い町。朝鮮通信使が上陸した場所には碑がある。下関の焼き肉は日本一だ」―。最初の首相就任から14日目の2006月10月9日の昼過ぎ、当時の韓国首相、韓明淑(ハンミョンスク)氏が主催する昼食会でこう述べ、場を和ませた。

 戦後最年少で政界を上り詰めた安倍晋三さんが、初外遊となった中国、韓国歴訪中、「地元愛」をアピールした場面として印象に残っている。

 安倍さんは「政治の家」に生まれ、東京で育った。しかし、幼少期から山口県は身近だった。祖父は田布施町出身の岸信介元首相。自民党幹事長、外相などを歴任し、首相の座を目前にして病に倒れた父晋太郎氏は下関市や長門市などを地盤とした。都内の岸邸や安倍家には、県内から出てきた書生や住み込みで働く女性がいたという。山口からの来訪者も多く、山口弁が飛び交った。

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