例えば『スター・ウォーズ Episode I』で「マカニク(Mackineek)」という言葉をボス・ナスが使っている。
この「マカニク」とはドロイドを表すグンガンの言葉らしいが、本編中ではその事は一言も説明されていない。
つまり英語圏の人間にとってもマカニクは謎の言葉であり、
物語を見て「ああ、マカニクはドロイドのことか」と想像させるように仕向けられている。
「マカニク」という言葉が理解できない人間のことより、世界観が重視されているのである。
だが戸田氏はこのあたりの脚本の意志を完全に無視し、
「わからないから」と勝手に「マカニク」を「マシーン」と書き換えてしまった。
確かにそれで判りやすくはなっただろうが、それによって『スターウォーズ』の世界観の広がりを潰してしまっている。
戸田氏は同様のことを、映画『タイタニック』で行っている。
劇中の救難信号を討つシーンで、「CQDを打て」を、「SOSを打て」に勝手に直してしまった。
キャメロンは歴史的事実を尊重して、観客に意味が通じないという危険を敢えて冒しつつ「CQDを」としたのに、
その制作者の意図を、演出権限など全くないはずの字幕翻訳家が勝手に変えてしまったのである。
同様に、『地獄の黙示録』で軍のヘリが墜落する時に「メーデー!」と言っているのを「SOS!」としてしまった。
もちろん軍隊では「SOS」などという言葉は使わない。
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