ワイのIDが凄い件について
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午後の報道番組に引っぱり出された識者の多くは、選挙という「民主主義の根幹」にかかわる事態の最中に、一人の暴徒が前々首相の命を奪ったことは、民主主義に対する許しがたい冒涜だと口々に非難していた。だが、冗談も休み休み口にしようではないか。そもそも、問題の前々首相の祖父にあたる元首相が、そのいかがわしい宗教組織の創始者と浅からぬ関係があったことぐらいは、まともな国民であれば、誰もが知っていた周知の事実にほかならない。だとするなら、途方もない額の不法な献金によって家族を壊されたという当の元自衛官が、借金までして自家製の銃をこさえあげ、その銃口を元首相に向けて発砲したという選択は、それがどれほど非難さるべきものだったとはいえ、まんざら的はずれでもなかったことになる。
だが、ここで問題なのは、ほとんどの人が、元自衛官による殺人について語り、その凶行が避けえたかもしれぬという視点に立つ者が一人としていなかったことだ。政府は、あらゆる国民――元首相だって、まぎれもなくその一人である――を、不当な暴力から守らねばならない。そうした視点からの議論がまったくなされていないのは、敗戦直後の戦争責任論に似て不快でならない。日本はもう負けたのだという理由で、政府が一人でも多くの国民をその死から守れなかったのはなぜかという問題を、連合国による戦争犯罪の問題にすり替えてしまったのだから、いまこそ、それにふさわしい議論が行われねばならない。にもかかわらず、どうすれば元首相は殺されずにすんだのかが、まったくもって語られていないという点に、今回の事件の最大の不幸があるというべきなのだ。いつもの通り、防衛という問題が蔑ろにされているからである。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています