青年テイレシアースはキタイロンの山中を歩いていると、交尾している二匹のヘビに出くわしました。彼は若かったこともあり、そのヘビを杖で打ちすけました。すると、なんとしたことでしょうか。彼は、女になってしまったのです。

その後、テイレシアースは女として、7年間暮らしました。その間に、女の喜びを知ったのです。

そして8年後、またキタイロンの山中に行くと、7年前と同じように交尾した二匹のヘビに出くわしました。
「これは、男に戻れるかもしれぬ」

テイレシアースは、再び二匹のヘビを杖で打ったのです。思惑どうり、テイレシアースは男に戻りました。

そんなテイレシアースを、オリュンポスに呼び、ゼウスとヘーラーは彼に問いました。
「テイレシアースよ、性の喜びは男女ではどちらが上か?」

「性の喜びは、圧倒的に女が上です。男の性の喜びよりも9倍もあります」

「どうだ、ヘーラーよ、わしの言った通りであろう」
その時、ヘーラーは黙っていましたが、後で怒りがふつふつと湧いてきました。

そして、ヘーラーの怒りは、テイレシアースを盲目にしてしまったのです。盲目にされたテイレシアースを哀れんだゼウスは、彼に予言の力と長寿を与えました。