カリストーはその名の通りのとても美しい乙女だったが、身を飾ることや色恋にはまるで興味を示さず、アルテミスの従者として処女を誓い、狩りに明け暮れる生活をしていた。

しかしある日、その美しさゆえにゼウスに見初められる。
ゼウスはアルテミスの姿を借りることで男性への警戒心の強いカリストーに近づき、思いを遂げた。
その結果、純潔を尊ぶアルテミスの怒りにより、あるいはゼウスの妃のヘーラーの嫉妬によって、恐ろしい呪いを受けることになる。
哀れみを乞うカリストーの真っ白な腕は黒い毛皮で覆われ、両手は湾曲して鉤爪が伸びて獣の前肢となり、ゼウスがとりわけ愛でた口元は巨大な獣の顎となって喉からは言葉の替わりにおぞましい唸り声しか出せないようにされた。
彼女はもとの美しい容姿とは似ても似つかぬ、熊の姿に変えられたのである。