0001それでも動く名無し
2023/08/23(水) 22:41:19.14ID:mtY3BrOG0湯田からバトンを引き継いだ高橋煌稀投手が2死一塁から、7番・福井直睦選手にタイムリー二塁打を浴びる。リズムをつかめない。四球と安打で、さらに1点を失う。2死二、三塁で、迎えるのは1番・丸田。スタンドのボルテージが上がる。
カウント1ストライクからの2球目。仙台育英・高橋の球威が勝った。フラフラと左中間へ飛球が上がる。中堅手も左翼手もグラブを構えながら、ゆっくりと落下点へと向かう。平凡な外野フライだったが、スタンドの歓声は収まらななかった。
外野手2人は交錯し、中堅手のグラブから白球がこぼれた。選手たちの声をスタンドの声がかき消し、二塁と三塁から走者が還る。中堅手の橋本航河選手は「OK、OK、どけ、どけと声を出したのですが……相手の声も全く聞こえませんでした」と肩を落とした。
スコアボードに「5」が表示される。6点差。グラウンドの選手もベンチの選手もうつむく。幾度も劣勢を跳ね返してきた仙台育英であっても、戦意を喪失するほど重い失点だった。