近隣の人らも凄いなこれ

事故の10年前に発災した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)の経験が生かされ、迅速な救助活動が行われた。
事故発生直後、いち早く現場へ駆けつけて救助を始めたのは近隣住民である。
何らかの活動をした企業は約30社、約400人にのぼった。

尼崎市中央卸売市場や近隣工場の職員、地元住民の協力によって列車内に残された乗客の搬出、負傷者の応急手当、 タオルや氷・水・工具の提供、二次災害に備えた消火器の準備などが行われた。

死傷者があまりにも多く、救急車のみでは搬送が追いつかなかったため、歩行可能な負傷者および軽傷者は警察のパトカーや近隣住民の自家用車などで病院に搬送された。

また、多数の負傷者を一度に搬送するため、大型トラックの荷台に乗せて病院へ搬送する手段が取られた。
通常、座席を持たないトラックの荷台に人を乗せて公道を走ることは道路交通法違反にあたるが、兵庫県警は一刻を争う緊急事態であることを考慮し、白バイおよび機動パトロール隊の先導を条件に、道路交通法第56条2項[注 3]を類推適用し黙認した。

これらの結果、負傷者の半数は近隣の人々が医療機関に搬送しており、震災当時にみられたボランティアの精神が生かされている。