◆ソフトバンク7―0オリックス(29日、長崎)

 ソフトバンクの野村勇内野手(26)が神懸かり的なタッチアップでチームの勝利に貢献した。打線の起爆剤を期待され、昇格即日に「2番三塁」で先発出場し、2安打1得点の活躍を見せた。

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 球場中の誰もが度肝を抜かれたスタートだった。0―0で迎えた初回1死満塁。中村晃の打球はセカンド後方への飛球となった。右翼と二塁の間に飛んだ打球を二塁手が捕球すると、三走の野村勇は迷わずタッチアップのスタートを切った。

 「セカンドの体勢が悪かったので。僕がセカンドだったら普通に投げるのは難しいですし、ピンポイントで(捕手へ)投げないと、アウトにならないのが分かっていた。全然勝負できるかなと」

 ヘッドスライディングで滑り込んだ本塁へのクロスプレーで一時はアウトの判定も、藤本監督のリクエストでセーフに覆った。そんな先制点からチームは勢いづき、この回4得点を挙げ、勝利をつなげた。

 パンチ力ある打撃に加え、1年目の昨季は10盗塁をマークする俊足を誇る。しかし3月に腰の手術を受け、自慢の足にも影響は少なからずあった。7月6日の日本ハム戦(ペイペイドーム)では同点の8回に安打を放ち、勝ち越しの走者として出塁も、周東を代走として送られたこともあった。そこから2軍暮らしの悔しさも経て、見せた好走塁。「そんなにすぐ戻るかは分からないけど…。今はほぼ100%に近い状態でできていると思う」。悔しさを乗り越え、自信も深めつつある。

 三塁コーチャーの村松外野守備走塁コーチも「いいスタート。少しずつ(足も)良くなっているかな」とたたえる。その上で「その前の近藤の安打で(本塁に)かえってきてほしかったというのはありますけどね」と笑顔で注文も忘れなかった。昨季の輝きを取り戻しつつある韋駄天(いだてん)は、チームに再び勢いを与える〝快足〟を見せてくれそうだ。(鬼塚淳乃介)

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