慶應高校の夏の甲子園での優勝。107年ぶりの歴史的快挙を成し遂げた選手たちには賞賛の声が寄せられる一方、その応援風景に眉をひそめ、違和感を表明する人も。なぜ、「慶應の応援」は批判の対象となったのか。慶應大学名誉教授に聞いてみると――。

「大学野球的な応援で、神宮のノリをそのまま甲子園に持ち込んでしまったのは申し訳なく感じています。従来の高校野球の応援は、学校の応援団や地域住民が主ですが、慶應高校の応援には高校関係者のみならず、海外から駆け付ける者もいるほど、塾員全体が熱を持って応援していました」

そう語るのは、スポーツ全般、特に野球に詳しい慶應義塾大学名誉教授の池井優氏である。

「また、慶應高校は神奈川県代表というより、オール慶應代表のように見られる部分がありました。これも従来の高校野球とは違ったチームと見られてしまう要素だったのではないかと思います」

さらに池井名誉教授は、慶應優勝に「違和感」を覚える人が一定数出た背景には別の要因もあったのではないかと指摘する。

「旧来の高校野球のスタイルにとらわれない慶應高校のような学校が優勝したというのが価値のある出来事だったのは間違いありません。しかし、チーム全体がこれまでの汗と涙の高校野球のイメージと乖離していたことが、反発を招いた面もあると思います。慶應義塾は自由な雰囲気をまとった組織で、傘下にある慶應高校・大学野球部も常識にとらわれない自由さが目立ちます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5820a60217869c109d3090271ceb1d87f83e23e1