アプリに登録して2日後、東京の30代女性からメッセージが届いた。キリッとした顔立ちの美人で、女医だという。「頑張っているあなたを応援したいです。一度東京までいらっしゃいませんか? もちろん交通費と、お小遣いも5万円お渡しします」というものだった。

「ドタキャンなんてしませんよと言ったんですが、彼女は言葉だけでは不安だと『先にこちらに2万円送金してもらいたい』と提案してきたんです。『2万円は会えた時に返します。こちらにお金を預けていたら、逃げたりなんてしないでしょ?』って」

 彼女に安心してもらうために、ケイタは2万円を送金した。

 しかし東京駅に着き、彼女にメッセージをしようとすると、新幹線の中まではやり取りできていた彼女のアイコンが消えている。ブロックされたのだ。そこで初めてケイタはだまされたと青ざめた。

 この損失はママ活で取り返そうと、アプリのプロフィール欄に「助けて! 今、東京駅にいます。帰りの電車賃もなくて困ってます。誰か僕を拾ってください」と書き込んだのだ。

 窮状を訴えれば、裕福な女性がきっと手を貸してくれる。ここは東京なのだから大丈夫だ、と自分に言い聞かせたが、誰からもリアクションはなく、結局親に送金してもらって帰りの切符を買うしかなかった。