辞世の上の句をよんだ。下の句に苦吟していると、看病していた野村望東尼が、
「住みなすものは心なりけり」
と詠んだ。安倍はうなずき、
・・・面白いのう。
と言って静かに眠った。それが安倍の最期であった。