宮崎県木城町議会の9月定例会で事前に通告した一般質問が議長の権限で「不許可」となり、議員が一部の質問をできなくなったことが関係者への取材で分かった。議長は「規則上、差し止めることができる」とするが、識者は「一般質問は議員の権利で議長が止めるのはあり得ない」と指摘している。(波多江航)

不許可となったのは2期目の久保富士子議員の質問。通告した3項目のうち、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)を巡って最終処分場選定の第1段階となる文献調査に応募する意思があるかを町長に尋ねる質問が外された。

議会事務局などによると、久保議員は8日開会の定例会で一般質問をするため、事前に通告。4日に甲斐政治議長や議会運営委員長から取り下げを促されたという。応じない姿勢を示すと、その日に議会事務局から議長が質問を認めなかったことが伝えられた。同議会会議規則では「議員は町の一般事務について、議長の許可を得て質問することができる」と定めている。

町議会では昨年、甲斐議長らが青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場を視察。町が文献調査に応募するのではないかとの臆測が町民の間で出た。今年6月には隣接の高鍋町議会で木城町の動向が一般質問で取り上げられた。

質問を認めなかったことについて、甲斐議長は取材に、高鍋町議会で取り上げられた後、町役場に問い合わせが相次いだ点を挙げ、「また問い合わせがきて役場の事務に支障をきたす。臆測の質問を取り上げる必要はない」と語った。久保議員は「町民の関心事で納得できない」と話した。

木城町長は読売新聞の取材に、文献調査を求めない意向を示している。

大正大の江藤俊昭教授(地方自治論)は「(一般質問の対象は)自治体全体に関わることなら何でもよい。文献調査は政治的論点で、取り上げられなければ議会の意味がない」と指摘している。

https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20230909-567-OYT1T50105.html