3日には最速155キロ右腕の中大・西舘勇陽(4年)が7回2安打1失点と好投。青学大・常広羽也斗(4年)とのドラフト1位候補対決を制した。ある球団のスカウトがこう言った。

「西舘は7月の中ごろに右太ももを肉離れしたこともあって、巨人をはじめとするスカウトたちは、状態を気にかけていました。ケガの影響もあって2戦目の先発に回ったが、能力の高さと完全復調をアピール。西舘が調子を上げてくれば、各球団の1位候補を絞る作業は難航しそうです」

 西舘の他に、再びプロの評価が急上昇しているのが、東洋大の左腕・細野晴希(4年)である。

 先月28日、大学日本代表の5番手として、高校日本代表との壮行試合に登板。2者連続空振り三振を取った後に158キロをマークし、自己最速を一気に3キロ更新した。これはアマチュアの左投手最速で、視察したプロのスカウトをうならせた。球界関係者がこう言う。

「巨人も複数の幹部が視察していた。細野は元々、ドラ1リストの上位にいたけど、東都2部の春のリーグ戦で『右打者のインコースに投げ込めないし、制球難で自滅する傾向がある』とプロの評価を落とした。ただ、1部に復帰した秋のリーグ戦開幕前に158キロをマークしたので、巨人のスカウトもザワついた。全日本大学選手権で優勝した青学大の常広も、回転数の多い直球を武器に、6月の段階ではトップクラスの評価だった」

「台湾でU18W杯を戦う大阪桐蔭の左腕エース前田も1位リストから消えていないものの、こんなチーム状態で今秋のドラフト1位指名選手に求められるのは『即戦力で1年目から2ケタ勝てる先発投手』。今年に限っては、高校生を1位指名している場合ではなさそう」(同前)