2年前の2021年10月29日。金びょうぶの前で3代目ミスタードラゴンズは言った。「打つ方は自分が必ず何とかします」。待望のミスタードラゴンズの監督就任に、名古屋の街は期待した。それが大きかった分、この2年間の戦いぶりにほぼ全てのファンが落胆している。そして、3年目への不安は色濃く残ったままなのである。

 加藤球団代表が言ったように「3年目は待ったなし」。最初にやるべきことはミスタードラゴンズの看板を自ら下ろすことだと思う。通算2480安打。優れた技術と実績に裏打ちされた理論がある。しかし、たとえ正しいことであったとしてもそれを選手もできるかどうかが別問題なのは、この2年間が証明している。仏の道を理解する前の人間に難しい経文を聞かせ、物理学を学び始めたばかりの人間に相対性理論を説くようなものではないだろうか?

 スポーツの指導者だけでなく、学校なら教師、職場では上司。成長を促すために今の世の中で求められるのは教わる側が「どうなりたいか」を知ることだ。甘やかし、選手にこびろと言っているのではない。上に君臨するボスではなく、前に立ち、導くリーダーになってもらいたい。それが結果を出す組織の主流となっているのだから。

 厳しいことを書くが、どう見ても負けるべくして負けている。補強が思ったような成果を上げていない、主力に故障者が出た…。いや、少なくともトレードやドラフトの過程には立浪監督が深く関与しているし、他球団にも誤算や故障は同じようにある。長年背負った看板を下ろし、地上に降りた3年目には、きっとリーダーの目には今までとは違う景色が見えてくると信じている。