「情報漏洩を防ぐ最も確実な対策は、PCでWinnyを使わないことです」――。15日、多発するウイルス「Antinny」による情報流出に、安倍晋三官房長官が異例の呼びかけを行なった。

 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)でも、Winnyの危険性に関して注意喚起を行なっている。それによると、「Winnyで入手したファイルは、誰が、いつ、どこで作成したのかもわからない信頼できないファイルで、Antinnyを紛れこませることは簡単」であるとし、Winnyで入手したファイルの実行や閲覧は非常に危険だと指摘。Antinnyが入ったファイルは、拡張子がわかりにくい紛らわしいファイル名であったり、アイコンを偽装するなど、人間の心理を巧妙に突いているため、Winnyを使用してファイルを入手する行為そのものが危険だという。また、PCを業務用途ではなく、メールやWebページの閲覧だけの用途で使用していても、個人のプライバシーに関する情報が入っている可能性があるため、情報流出を防ぐ最も確実な対策は「Winnyを使わないこと」と結論付けた。

 ウイルス感染を防ぐには通常、ウイルス対策ソフトの使用とWindowsのセキュリティアップデートの適用が重要だ。しかし、Antinnyの場合、最新のウイルス対策ソフトでも対応していない亜種も多く、Antinnyの大半は、OSの脆弱性とは関係なく感染し情報を流出させる。そのため、「確実にAntinnyに感染していないと言えるようにするためにはOSをクリーンインストールする必要がある」という。

 また、自分自身がWinnyを使用していない場合であっても、家族と共同でPCを使用している場合は、知らないうちに家族がWinnyを使用している可能性もある。NISCでは「日頃から家族のPCの使用状況を把握し、家族がWinnyを使用していないか確認するように」と注意を喚起している。

 こうした状況を受けて、安倍官房長官は15日の会見で「情報漏洩を防ぐ最も確実な対策は、PCでWinnyを使わないことです。この点について、私からも国民のみなさんにお願いをしたいと考えております」と呼びかけた。

 NISCでは、「Antinnyのようなウイルスは、そももそもWinny以外のファイル交換ソフトやメールの添付ファイル、Webサイトの閲覧でも感染の危険性があり、信頼できないファイルは実行しないようにしてほしい。今回は特に、最近流出事例が多発しているWinnyに関して警告した」とコメントしている。