2023.09.20

 立浪和義監督(54)の続投を発表した中日で、来季のヘッドコーチとして、西武、巨人、オリックスで活躍した清原和博氏(56)の名前が挙がっていることが19日、分かった。低迷脱出へ向け「立浪監督が耳を傾けるのは、清原氏以外いない」と、劇薬投入とも言える仰天プランが中日内部から聞こえてきた。

 清原氏はプロ野球史上5位となる通算525本塁打を放った実績の持ち主。昨春、今春と立浪監督の求めに応じる形で中日キャンプを訪問し、短い時間ながら細川や鵜飼を指導するなどした経緯と実績もある。

 2016年2月に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けたが、20年6月に執行猶予期間が満了。周囲のサポートに支えられながら薬物依存のリハビリに励み、徐々に野球解説者としての仕事も増やしてきており、ファンの間では「技術、精神両面での解説はとても分かりやすい」と好評を博している。

 組閣案に清原氏の名前が急浮上した裏側には、チーム内での立浪監督の孤立化を防ぎたいという思惑が見え隠れする。プロ野球において最終決定が監督に委ねられるのは一般的だが、立浪監督は自らの考えと合わない意見にはあまり耳を貸さない傾向があるとされ、PL学園の先輩であり2歳年上の清原氏が立浪監督とコーチ、選手らの間に入って緩衝材となることで意見交換が活発になり、チームの空気が変わることにも期待を寄せていると思われる。

 立浪監督は監督就任時、決定力不足に苦しむ当時の現状をつかまえ、「打つ方は1年間本当に打てないと言われましたけれども、必ず何とかします」と貧打解消を約束したが、昨年はリーグワーストの414得点。今季も19日現在でリーグ5位の広島から118得点離された356得点で、チーム打率・237もリーグワーストに沈んでいる。

 それでも加藤球団代表は立浪監督の続投を発表した15日、「立浪監督に就任を要請するに当たって、何とか3年でチームを改革してほしい、道筋をつくってほしいとお願いをして引き受けて頂いた経緯がある。去年、今年とご承知の通り非常に厳しい成績で、道は険しいと言わざるを得ません」と説明しつつ、現役ドラフトとトレードで獲得した細川、宇佐見をはじめ、岡林、石川昂、村松、福永などの若手が育ちつつある現状を踏まえ、「立浪監督には不退転の決意のもとで、歩みを止めないで改革を推し進めてもらえばという判断。経験を積んだ若い選手を何が何でも来年、再来年と成長させてもらわないといけない。チームの顔に育ててもらわないといけない」と契約最終年を迎える来季の上位進出を願った。

 ミスタードラゴンズである立浪監督はいわば「最後の切り札」だったが、球団史上初となる2年連続最下位が現実味を帯びている。清原氏には貧打解消はもちろん、立浪監督の援助、後方支援に加え、にらみ役となって指揮官に物を申す役割にも期待を寄せる。入閣となればさらなる観客動員数のアップも見込めるとあって、今オフの目玉人事となることは間違いない。

 ◆清原 和博(きよはら・かずひろ)1967年8月18日生まれ、56歳。大阪府岸和田市出身。現役時代は右投げ右打ちの内野手。PL学園時代に優勝2回、準優勝2回。85年度ドラフト1位で西武入団。86年4月5日・南海戦(西武ドーム)でプロ初出場。同年、新人王。97年にFAで巨人移籍後、06年オリックス移籍。08年現役引退。通算成績は2338試合、打率.272、2122安打、525本塁打、1530打点。

https://www.daily.co.jp/baseball/2023/09/20/0016830023.shtml