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◇検証!!屈辱竜~上~

 中日は立浪政権となって2年を終えた。昨年に続いて、今年も6位でシーズンを終了することが決定。球団史上初の2年連続最下位となった。チームの成績は低迷を脱出するどころか悪化しているのが現状。立浪和義監督(54)が就任3年目の来年も指揮を執ることが発表された中、今年の不振は何が原因で、何が必要だったのか。「検証!! 屈辱竜」では3回にわたって改めて分析し、解決策も考察する。

 「打つ方は何とかします」。立浪監督が就任会見で語ってから2シーズンが経過した。あのころは希望に満ちあふれていた。今更そんなことを言っても始まらない。まずは目を背けたくなるような数字の羅列からみる。

 今季の総得点はリーグワーストの390。2リーグ分立後に400点を割ったのは1956年の369点(130試合)以来、2度目となった。他にもリーグワーストは打率、本塁打、出塁率、長打率、得点圏打率、四球と指標は軒並み悪い。つまり、チャンスであと1本が出なかったのではない。要因は幾重にも折り重なっていた。

 立浪監督は「突き詰めると個々の技術が足りない」と分析する。確かにヒットを打つことも四球を得ることもチャンスで相手の配球を読むことも全て「技術」と言える。ただ、この「技術」を伝えるということが通算2480安打を誇るミスタードラゴンズであってもいかに難しいかということを思い知らされた2年間でもあった。

 就任直後の秋季キャンプでは、高橋周、京田、阿部、木下、ビシエドというレギュラーメンバーの打撃改造を開始した。レギュラー陣が今までの数字のままなら低迷からの脱却は難しいと考えたからだ。指揮官が提唱するのは「間」と「割れ」を大事にする理論。大まかにいうと、ボールと距離を取って、軸足にためをつくりバットを最短距離で振り下ろす打法だ。

 ただ、それぞれ選手にもこれまでに培ってきた打ち方や感覚がある。頭で理解していても、全員がすぐに実践できるかは別問題。そして、試合は待ってくれない。結果が出なければ出場機会は減る。投手の球速も格段に上がり、変化球も進化している。打者側も動作解析やデータ分析も進み、「バレル」など新しい理論が脚光を浴びることもあった。選手は選手で結果を出そうとして、新しい情報や知識を得ようとするのは自然なことだ。

 立浪監督にとって「これをやればうまくいく」と見えていても、選手によっては迷いが生じるポイントだった。消化不良のままシーズンは始まって、レギュラー陣の成績は軒並み低下。ジレンマを解消できないまま、時間だけが過ぎていった。立浪監督は「選手をもっとやる気にさせる方法はなかったのかというところが一番の反省点。若い選手の感覚は非常に難しい部分もある。何とか力を発揮してあげられるようにやっていきたい」と話す。

 昨季を終えた際、指揮官は「できないなら人を変えるしかない。今のままのメンバーで優勝できるチームはできない。時間はかかるかもしれないけど、思い切って変えていくしかない」と語っていた。チームをゼロからつくり直すと決意し、京田と阿部を交換トレードで放出。ドラフトでは内野手の大量指名に踏み切った。大砲候補獲得のためドミニカ共和国へ視察に向かった。外国人でチームの底上げしながら、若手を思い切って使う。そんな2年目の構想も開幕直後から狂っていった。