日本ハムの新旧本拠地の明暗が早くも分かれている。今年から新たなホームグラウンドとなったエスコンフィールド北海道(以下:エスコン)の評判は高く、多くの人が足を運んでいる。
一方で旧本拠地の札幌ドーム(以下:ドーム)は市民の懸念通り、厳しい船出となった。

北海道北広島市にできたエスコンの話題は、今季NPBにおけるトップクラスのニュースだった。開閉式の屋根を備えた内外野総天然芝である球場自体の魅力はもちろん、周辺にはホテルや多くの娯楽施設が併設。野球開催日以外でも多くの人々が集う1つの町「北海道ボールパークFビレッジ」もできつつある。

(中略)

一方で“日本ハムなき”ドームに関しては芳しい話が聞こえてこない。当初の試算では今年度は約3億円の赤字だが2024年度には黒字に転じ、以降の5年間で900万円の黒字を見込んでいた。
日本ハム主催試合はなくなるが、昇降式の大型暗幕でドーム内を仕切る「新モード」を採用し、イベント数増加も期待されていたが……。

「イベント数の激減は明白。自信満々だった新モードでの利用も年度明け段階では1件も決まっておらず、初開催が9月10日のラグビーW杯・日本対チリ戦でのパブリックビューイングだった。今後も同様の状態が予想されるため赤字額は間違いなく増えるでしょう」(大手広告代理店関係者)

「ラグビーW杯でのパブリックビューイングも1860人しか集まらず閑散とした雰囲気だった。入場無料で開催されたイベントの費用は札幌ドームと札幌市の持ち出しで、結果的にはドームへ税金を投入しているのと同じこと。今後も同じ形式でイベントを開催するなんて考えられない」(スポーツマーケティング会社関係者)

 新モードが不評なことに加え、札幌ドームをホームとして使用するサッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌も人気抜群という感じでもないのは気がかり。
今季は観客数1万人台の試合がほとんどで、2万人を超えたのも大規模招待イベントを開催した第18節のセレッソ大阪戦(2万4509人)と第23節のサガン鳥栖戦(2万1895人)の2試合のみだ。

 暗い見通しも多い中、さらに市民が懸念する話もでている。2030年札幌冬季五輪・パラリンピック招致に向けドーム敷地内に新月寒体育館を建設するというものだ。
5日には2030年の招致は断念したと報道されたが、2034年以降の開催を目指して仕切り直すことになった。

「(五輪を)札幌へ招致できるかは未知数。新月寒体育館という新たな箱物を作ってもその後はどうするのか?札幌ドームさえ黒字化できない札幌市が、また1つ負の遺産を抱えることになるはず。
その場合には札幌市民の税金が投入されるという負のループが繰り返されるかもしれない」(スポーツマーケティング会社関係者)

「ドームだけでも先行きが見えない中、新月寒体育館まで対応できるのか疑問。日本ハムに移転されてしまった過ちを真摯に受け止めビジネスに特化した立ち振る舞いが求められる。
今まで同様のいい加減とも思える施策を行なっていれば、札幌市民もそろそろ黙っていない」(大手広告代理店関係者)

 人口約6万人の北広島市と約197万人の札幌市、町自体の規模や人口では比較にならないほどの差がある。
しかし人々の心を満たすエンタメを行う場所としては、立場は全く逆になってしまったようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f92d5cd01c11c3ea51d0fdbcab0329d8bc4d9fcf