高級店が軒を連ねるイメージの強かった銀座の街が、大きくモデルチェンジしているようだ。東京・銀座の商業ビル、マロニエゲート2の地下1〜2階に、ディスカウントスーパー「オーケー」が10月17日に開店した。

【写真】たしかに安い!「小海老と大葉のあられ天丼」299円税別、「白身フライ明太海苔弁当」250円税別、「極み開店祝いにぎり」865円税別
 オーケーは横浜市に本社を置くディスカウントスーパーだ。「高品質・Everyday Low Price」をモットーにしている。一定期間安売りをする「特売」を排除し、常に低価格で商品を提供することで消費者の支持を広げてきた。都内を中心に約150店舗を持ち、都心部や駅前立地の出店を増やしている。

 銀座店のオープン初日に訪れた50代男性が次のように語る。

「職場は隣の駅なんですけど、近所のコンビニに売っているのり弁当よりも、こちらの天ぷら弁当のほうが安いって聞いて、来てみました」と、〈小海老と大葉のあられ天丼〉(299円税別)を見せてくれた。

「このビルはかつてファッションビルのプランタン銀座でした。あの頃はおしゃれすぎて僕みたいなダサい男が入るのは怖かったけど、今じゃファストファッションとエブリデイロープライスのオーケー銀座でしょ。銀座に来る機会が増えそうです」(同前)

 同店舗の売り場面積約2140平方メートル。オーケーの都心部店舗としては最大規模だ。野菜から精肉、加工食品、総菜など幅広い商品が並び、開店初日は朝から多くの人が詰めかけた。
「銀座の客」が変わった

 流通評論家の渡辺広明氏はオーケーの銀座進出には4つの要因があると分析する。

「ひとつは銀座の客層の変化です。職場の近くに住む、住職近接の考え方が若い世代を中心に広まり、中央区や港区の都心の湾岸エリアなどに住む人が増えています。ただ、圧倒的なお金持ちじゃなくて、ちょっと無理をしてマンションを買ったパワーカップルみたいな人たちが多いので、生活費は少しでも切り詰めたい。オーケーが低価格を打ち出すにはうってつけなのです」

 さらに働く女性の増加も一因だという。

「女性の就業率は71.3%(2021年生産年齢人口)です。銀座や有楽町界隈で働く女性も増えている。そうした人たちが仕事の前にお弁当を買う、といった行動パターンが読めます。

 3つ目は銀座という土地柄、夜のお店で使われる業務用の食品などが売れるんです。先行して銀座に進出した『肉のハナマサ』が成功しているのも同様です。

 さらに、“日本は安い”という情報が世界的に広まっています。安さを求めてやってくる外国人も多い。そこで299円の弁当ですからね。あれ、ヨーロッパだったら多分2000円くらいしてもおかしくないですよ。中国のQRコード決済・WeChatペイも使えるし、コロナ明けでインバウンドが再び増えることも見越しての出店だと思います」(渡辺氏)