スコセッシといえば、2019年の「マーベル映画は映画(cinema)ではない」「テーマパークのようだ」との発言が今なお尾を引き、各所で議論を招いている。スコセッシはその後、何度か発言の真意を伝え直しており、主に映画文化の継承についてを語ったり、「工業的に生産されたコンテンツ」に抗いたいという姿勢を示したりしている。

これはマーベル映画の出演者などからも反対意見を招いていたが、ジョー・ルッソ監督もさりげない形でついに反応を示した。彼が取り上げたのが、スコセッシの娘フランチェスカのTikTokアカウントに投稿されたネタ動画。長年映画製作をしてきたと語るスコセッシが、「これまでロバート・デ・ニーロやレオナルド・ディカプリオのような“ミューズ”たちと出会ったが、私はさらなる高みを目指したい」と話すものだ。

語りかけていた相手は可愛らしいシュナウザー犬で、スコセッシは彼を「オスカー」と呼び、役者の卵に見立てながら「君は並外れているそうだね」「ぜひ一緒に仕事をしよう」と説くというもの。スコセッシは「オスカー、恐怖の表現をしてくれ」「悲しみを表現してくれ」「愛を表現してくれ」など演技をリクエストするが、オスカー君は当然何のことかわからず、きょとんとしている。最後にスコセッシが「もっと自分を引き出すんだ」と演技指導(?)をすると、オスカー君はおもむろに“伏せ”をしてみせ、スコセッシが「素晴らしい!」「役をあげよう」と大喜びする、というお茶目なネタ動画である
お分かりのように、この動画自体には件のスーパーヒーロー映画批判の要素は全くないのだが、皮肉な反応を見せたのがジョー・ルッソ監督。動画を引用する形で、「わぁ、シュナウザーを飼ってるんですね。僕もシュナウザーは好きだよ。オスカーっていう名前なんだね。可愛いですね、オスカー君」とカメラに語りかけるジョーは、自身もシュナウザーを抱いている。愛犬の名前は……「ほらほら、うちのボックスオフィス(興行収入)ちゃん」。