肝心なところで勝ちきれない。あの隆盛を誇ったソフトバンクは一体どこに行ってしまったのだろうか。

松田はソフトバンクナインの戦う姿勢に、不満の色を隠そうとしなかった。

「クライマックスシリーズのファーストステージの3試合(ロッテ戦)を見たけど、寂しかったよね。みんなは野球選手だから野球で頑張る、打って守って走ればいいって思うでしょ。だけど、それって12球団の選手が当たり前にやることなんです。
だから差は出ない。僕がいた頃のホークスはベンチの盛り上がりや一体感がすごかった。特に短期決戦は。シーズンは自分の成績のこともあるけど、短期決戦は違う。当時は内川(聖一)さんも『短期決戦はどれだけ打つかじゃなくて、どこで打つか』と言っていたように、シーズンとは考え方を変えなきゃいけない。
誰かのヒット1本でも心にスイッチを入れて、点火させて、自分が打ったかのように喜ぶ。点を取ればベンチから飛び出すとか。シーズンとは違った姿で戦うのが僕らは当たり前でした。

 でも、今年のホークスはレギュラーシーズンと同じように戦っていた。なぜスイッチを入れんのかな、誰も演じなかったのかな、バカになってチームのためにやれる選手がいなかったのかなって。特に負けた2試合でね。勝っているときは誰でも声は出るんです。
キツイ状況の時ほど出来るのかどうか。それって結構エネルギー、体力がいる。でも、冷めてたらチームとして成り立たない。チームのために何かしようと思って戦えば、ベンチに座ってる暇なんてないはずなんですよ。3時間半ごとき」

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6481548

ソフトバンクの選手たちからは今年、「松田さんのようにやらなきゃと思うけど、難しい」といった趣旨の言葉を何度も耳にした。

 その事実を松田に伝えた。
「17年間ホークスにいて、こんな感じでやれば……という道は置いていったつもりなので。あとはやるかやらないか。後輩には受け継いで欲しかったな、っていう思いはありますけどね」