スペイン在住の英国人ニール・ハービソン氏は、光の波長を検知するアンテナを手術で頭頂部に結合したところ、職場を追われた。

ハービソン氏は色覚障害を持っており、1982年にこの世に生を受けた時から世界をモノクロ映像として眺めてきた。色彩への探究心が高じて、手術で頭蓋骨にアンテナを直結させたのは2014年である。

アンテナの先端に光センサーが付いており、色ごとに異なる光の波長を音波に変換し、頭蓋骨を通じて内耳に伝わる。ハービソン氏はどの音がどの色に対応しているのかを記憶することで、色を「聴き分けて」いる。

「私の能力はヒトを超えた」と語るハービソン氏。センサーは、ヒトには見ることのできない不可視光線にも対応しており、自動ドアの人感センサーが放つ赤外線や、太陽から降り注ぐ紫外線も聴き分けることが可能だ。

ハービソン氏の超人的な感覚は、磁覚にも及ぶ。膝に小型の地磁気センサーを埋め込んでおり、膝を刺激して方角を知らせてくれる。

ハービソン氏は、「身体を機械と結合させても、ほかの人々と同じように働ける権利が保障されるべきだ」と訴える。サイボーグ化手術を受けた仲間たちと、NPO法人サイボーグ財団を立ち上げるなどして、啓発活動に取り組む。
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