「中小企業も賃上げを」の大合唱…でも現場では「きれいごと」と突き放す声 6割がコスト増の「価格転嫁が不十分」と回答、大企業との賃金格差広がる

 首都圏の別の自動車部品メーカーは、新型コロナウイルス流行後の収益低迷を受け、組合員の2割が退職した。「業績悪化による将来不安が大きい」と労働組合幹部は話す。2023年は従業員を引き留めるためにベースアップを実施したが、金額は3千円にとどまった。

 この組合幹部は「原材料費の上昇を受けた取引価格への転嫁は遅れており、遅れた分は自社で負担せざるを得ない。大手自動車メーカーは『賃上げの機運が中小に波及してほしい』と言うが、きれいごとだ。大手と中小で賃金格差は広がる一方だ」と嘆く。