ドラゴンクエスト、というゲームをやった日のことを、僕は今でも覚えている。
僕は「勇者」だった。
僕は勇者である「僕」に名前をつけて、ドラゴンクエストの世界で敵を倒し、姫を救い出し、そしてみんなの拍手喝采を受けてエンディングを迎えた。
でも、今の僕はどうだろう。
僕は、僕じゃなくてもできる与えられた仕事をこなす。
それって、何を聞かれても何をたずねられても、
「ここはアリアハンの町です」
としか答えないドラゴンクエストの町の人じゃないか。
僕は、変わりたい。そう思った。
町の人の人生を否定する気はないし、否定することなんてできない。
成功だけが全てじゃない。それも分かってる。
でも、この今を、僕がいるこの場所を、本当は不憫に思っているのに、抜け出したいと思っているのに、
「これでいい。これが僕の人生だ」
と無理やり、言い聞かせて過ごすような人生は、絶対にまちがってる。
少し残ってたビールの缶を握りしめ、
そして、潰した。
僕は勇者だった
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1それでも動く名無し 警備員[Lv.7][新初]
2024/04/29(月) 14:04:33.75ID:CzbArzYl0NIKU■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています