14日に開かれた宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会では、宙組劇団員の女性が昨年9月に急死した問題について株主からの質問が相次ぎ、女性に対するパワーハラスメントの当事者の処遇を巡って、ヤジが飛び交うなど緊迫した場面があった。宝塚市在住だという株主からは「ホールディングスのみならず、宝塚市のイメージダウンだ」という指摘もあった。

宙組は女性の急死以降、活動停止状態にあるが、今月20日に本拠・宝塚大劇場(宝塚市)で公演を再開し、10~11月には全国ツアー公演を行う。総会で株主からは、パワハラへの関与が認められたとされる上級生について、「解雇しないのか」という質問が出た。

大塚順一執行役員は「(パワハラは)悪意があったとは言えない」と回答。劇団員には厳しい指導や叱責がハラスメントになるという認識がなかったとして理解を求め、「全ての責任はこのような環境を作った歌劇団にある」と答えた。

別の株主は「ハラスメントをやろうと思ってやる人はほとんどいない。ハラスメントに対する世間との認識のずれが、今回の問題の一因だ」と指摘。上級生の処遇などを巡る大塚氏の説明中、ヤジが飛ぶなど一時緊迫した雰囲気になり、HD側が「不規則発言はご遠慮ください」と求める場面もあった。

株主からはこのほか、劇団員の雇用形態の見直しについての質問も出た。劇団員は入団5年目まで歌劇団を雇用主に有期雇用契約を締結するが、6年目からは業務委託契約を結ぶフリーランスに切り替わる。

引き続き歌劇団の舞台を中心に出演している劇団員たちの活動実態と合わないという指摘もあるが、大塚氏は「現在、労働基準監督署の調査が入っている。調査や専門家の意見を踏まえて検討したい」と述べるにとどめた。

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