(ブルームバーグ): 米投資会社ブラックストーンは18日、帝人の上場子会社で電子コミックサービス大手「めちゃコミック」を運営するインフォコムを買収すると正式発表した。1株6060円で株式公開買い付け(TOB)を実施し、最終的に約2758億円で全株取得を目指す。

発表資料によると、買い付け期間は19日から7月31日まで。買い付け予定株数の下限は発行済み株式総数の9.14%とする。TOB価格は17日の終値5740円を5.6%上回る。約58%を保有する帝人はTOBに応募せず、成立後にインフォコムが実施する自社株買いに応じ1株4231円で保有する全株式を売却する。インフォコム株は上場廃止になる予定。

東京証券取引所が上場企業に資本効率の改善を促し、親子上場を問題視する中、大企業を中心に非中核事業を手放す動きが広がっている。帝人はインフォコム売却で得た資金を新たな成長戦略に活用する。一方、ブラックストーンはインフォコム買収により、世界で注力するIP(知的財産)事業を強化する。

インフォコムはブラックストーンによるTOBに賛同の意向を表明した。一方、帝人はインフォコム株の売却は10月上旬ごろになると発表。今期(2025年3月期)の連結決算に売却に伴う利益約1050億円を計上する見通しだとしている。

帝人の発表によると、インフォコムの入札には事業会社や投資ファンドなど13社が参加。ブラックストーンが示したTOB価格が最も高かったという。インフォコムによると、ブラックストーンはインフォコムの現経営陣による経営主導を想定しているが、取締役を派遣する予定。企業価値向上後は再上場が基本方針だとしている。

電子コミック市場は「めちゃコミ」をはじめ、「コミックシーモア」などライバルと競合する中、スマートフォンアプリの普及などで急成長している。インフォコムは帝人のシステム子会社だったが、帝人の主力事業との関連性が希薄化。帝人は非注力分野の整理を打ち出していた。

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