大幅低下のフィンランド
 欧州には、先進的な少子化対策を導入し、高い合計特殊出生率(TFR)を実現してきた国が少なくない。しかし、少子化対策のモデルとされてきたフランスや北欧諸国で、近年TFRが低下している。一方、少子化対策に後れを取り、以前はTFRが低かった国の中には上昇に転じた国もある。

 OECD(経済協力開発機構)加盟国に関し、横軸に10年のTFRをとり、縦軸に20年までのTFRの変化率をとったものである。10年のTFRが乖離(かいり)したイスラエル(3.03)と、TFRの下落率が30%を超える韓国は、図中から除外した。

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20240509/biz/00m/070/004000d

10年にTFRの高かった国ほど高い下落率を示している。少子化対策の成功例とされたフランスや北欧諸国がこれらに該当する。フランスは1・79(20年)と比較的高いTFRを維持したが、子育て支援先進国として名高いフィンランドは1・87(10年)から1・37(20年)まで低下した。政策効果によって一時的にTFRを高めることができた国でも、その状況を持続することに、各国とも苦慮しているのが実情である。